経済産業省の発表によると、2022年における日本の再生可能エネルギー比率は水力発電を除き 14.1%である。その内訳は、太陽光発電9.2%・バイオマス発電3.7%・風力発電0.9%・地熱発電 0.3%だ。
一方で、海外の割合を見てみると、スペイン(36.6%)・イギリス(40.2%)・ドイツ(43.8%)における再生可能エネルギーの割合が日本に比べて高いことが分かる。ヨーロッパを分析している時、スウェーデンのとある取り組みが目にとまった。日本ではあまり発達していない「バイオマスエネルギー」の先進国として知られるスウェーデンは、各家庭の生ごみの分別を無料のコンポスト用紙袋を利用するよう求めてきた。そうすることで家庭からの生ごみを回収し、それを燃焼させて直接バイオマスエネルギーの原料として活用できるという素晴らしい方法を行っている。またヨーロッパでは、太陽光発電の導入面積が広く、風力発電も発達している。これらに共通するのは、「事業所・政府・国民」が一体となって再生可能エネルギーの普及を推進している点である。
そして再生可能エネルギーを導入することで様々な利点がある。主な利点としては、環境負荷の低減、新たなビジネスチャンスの創出、エネルギーの自家消費の実現などが挙げられる。昨今の地球温暖化への対策に貢献でき、企業ではCSRを果たす機会ともなるだろう。また再生可能エネルギーに対する資金調達は、環境問題を重視する投資家や金融機関などから非常に高い評価を得やすくなるだろう。そこから企業価値を向上させれば新規ビジネスの創出や既存事業の拡大が見込めると思う。太陽光発電システムを設置すれば、電気代を削減できるだけでなく、余剰電力を売電して収入を得ることもできる。
もちろん初期費用は発生してしまう。しかし、政府の補助金や税制優遇制度を利用して初期費用を安くし、その後の売電や電気代節約を加味したら「十分に投資価値がある」と言って良いだろう。
ではなぜ日本はこうした制度を早く取り入れられないのか。その背景を調べると、「日本とヨーロッパでは、非住宅向けの太陽光発電システムのコストは2倍近くの差がある」という事実にたどり着いた。さすがにコストが2倍だと導入範囲もかなり狭まり、実際ヨーロッパに比べて再生可能エネルギーの割合が約3分の1になっている理由が分かってしまう。
何故コストが2倍に跳ね上がってしまうのか。それは、土地や制度に関する規制の多さ・人件費・系統接続コストの高さが挙げられる。だからこそ、制度の改革や再生可能エネルギー導入のための制度を向上させることが今の日本に必要だと考える。
ただ、日本が「明るい未来」に程遠いわけではない。地熱発電設備容量は世界10位ですが、地熱資源量は世界3位となっている。このようなことから、決して日本にそのポテンシャルがないわけではないと分かるだろう。
日本の豊富な資源を生かし、制度改革や技術導入を行えば再生可能エネルギーの普及において大きな成長が期待できる。そうすることで、より明るく持続可能なエネルギー社会を形成できるのではないかと考える。
~出典~
・経済産業省資源エネルギー庁 7 再エネ 再エネの導入 https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2024/07.html
・ゼロ炭素ポート ヨーロッパの再生可能エネルギーの割合は?エネルギー事情と成功の理由を解説
https://zerotansoport.com/column/4454/
・日本経済新聞 再生エネルギー、21.7%に増加 22 年度の電源構成 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA294L80Z21C23A1000000/#:~:text=% E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%94%A3%E6%A5%AD%E7%9C%81%E3%81%AF29,% E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E7%9B%AE%E6%A8%99%E3%82%92%E6% 8E%B2%E3%81%92%E3%82%8B%E3%80%82
(いずれも、2025 年 8 月 18 日最終閲覧)

