私たち人間は、健康に生きるために食べ物に気をつかいます。バランスよく栄養をとったり、積極的に野菜を食べたりすることが、体の調子を整えるために大切だと知っています。それと同じように、もし地球にも「食事」があるとしたら、今の地球はどのようなものを食べているのでしょうか。
地球が日々食べているのは、私たちが使っているエネルギーです。石油や石炭といった「化石燃料」は、人間社会でいえば脂っこくて体に悪いジャンクフードのようなものでしょう。それを大量に食べ続けた結果、地球は「高熱」(温暖化)を出し、「むくみ」(海面上昇)や「じんましん」(異常気象)に苦しんでいます。まるで地球が生活習慣病になっているようです。
そんな地球の健康を取り戻すために、今注目されているのが「再生可能エネルギー」です。太陽光や風力、水力、地熱などの自然の力を使って発電するこのエネルギーは、地球にとってのヘルシーな食材のようなものです。CO2をほとんど出さず、何度でも使える、体にも環境にもやさしい理想のごはんです。もし世界中がこのエネルギーに切り替えていけば、地球は元気を取り戻すことができます。温暖化がゆるやかになり、異常気象も減り、未来の暮らしが安全で安定したものになります。つまり、エネルギーを変えることは、地球の「体質改善」なのです。
再生可能エネルギーの良さは、環境だけにとどまりません。これまでのエネルギーは、巨大な発電所でつくられて遠くまで送られていました。しかし、太陽光や小型の風車は、家庭の屋根や学校、地域の施設等でも発電できます。これはまるで、スーパーに頼らずに自分の畑で野菜を育てて食べる「家庭菜園」のようです。つまり、エネルギーの地産地消が可能になるのです。自分たちで電気をつくれば、外国に頼らずに済み、もし戦争や輸入トラブルが起きても影響を減らすことができます。エネルギーの自立は社会の安心にもつながります。
また、再生可能エネルギーが広がれば新しい仕事も生まれます。太陽光パネルの設置、風車の点検、電力の効率的な管理システムなど、未来に向けた多くの技術と人材が必要です。これまでになかった職業が増え、若い世代にとってのチャンスが広がります。実際、日本でも長崎県の五島列島が再生可能エネルギー先進地として例に挙げられます。太陽光や風力でほとんどの電力をまかない、市内電力需要の役60パーセントを占めている地域です。そのような活動があることで、電気を自分でつくるという意識が広がり、地域のつながりや助け合いも強くなったそうです。エネルギーはただの電力ではなく、人と人との関係まで豊かにしてくれるのです。
もちろん再生可能エネルギーにも課題はあります。例えば、曇りの日には太陽光発電ができにくく、風がなければ風車も止まります。そのため、自然に左右されやすく必要なときに十分な電力を確保できない、電力の不安定さが大きな問題のひとつです。しかし、こうした問題を解決するために、近年様々な技術が進化しています。最新技術として、大容量の蓄電池やAIによる電力の最適配分システムなどが発展し、課題が克服されつつあります。これは、未来に向けての大きな希望となるでしょう。
これからの時代、私たち一人ひとりが「どんなエネルギーを使うか」を選ぶことができます。それはまるで、毎日の食事で「何を食べるか」を選ぶことと同じです。体に悪いものばかり選べば病気になりますが、体に良いものを選べば元気になります。エネルギーも同じです。地球にやさしいエネルギーを選ぶことで、未来の社会は明るく持続可能なものになっていくはずです。
もし今、地球が「もう少し元気になりたいな」と呟いていたとしたら、私はこう答えたいです。「じゃあ、今日から食事を変えてみよう」と。再生可能エネルギーは、未来を変える新しいレシピです。地球とともに健康に、持続可能に生きていくために。未来の子どもたちに、安心して暮らせる世界を手渡すために。私たちも今この瞬間から行動をはじめてみましょう。その行動が、明日の地球を変えていく力になっていきます。
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