加藤和彦: 太陽光発電設備の健全な発展のための議論を!
2 年前に「役員の新陳代謝を思うとこれが最後となるでしょう」と書いたのに再び書くことになってしまいました,しかも会長として.会長としての所信表明は前号に掲載していますのでここでは簡単に自己紹介をします.
産総研(当時は電総研)入所から一貫して太陽光発電技術を主な研究対象としています.ライフサイクル分析が最初でしたが約20年前から故障や不具合の実態調査と保守点検方法の研究を始め,またPVRessQ! を結成してその普及啓発活動も行っています.最近では太陽電池アレイの絶縁性能の議論に欠かせないモジュール/ストリングの対地等価回路の研究にも取り組んでいます.
他に比べてこの学会には太陽光発電設備の信頼性や安全性さらには社会受容性に関心をもつ会員が数多く参加しています.固定価格買取制度で導入された大量の太陽光発電設備の急速な老朽化が進む今後を想うとき,皆さんとともに太陽光発電の健全な発展のための議論を深め社会にさまざまな提言をしていきたいと思っています.
宮本裕介: 新たなる挑戦
このたび4 期目の理事を拝命するとともに,副会長に就任いたしました.微力ではございますが,本学会の発展に貢献できるよう努めてまいりますので,よろしくお願いいたします.
太陽光発電を取り巻く環境は大きく変化しています.地上設置型では環境保全の観点から規制強化が進む一方,ペロブスカイト太陽電池の普及により,壁面や耐荷重の小さい屋根など新たな設置場所での導入拡大が期待されています.また,再エネ導入拡大に伴う系統影響への対策として,蓄電池の重要性も高まっています.
私自身も蓄電池分野の検討を進めており,学会を通じた共同研究先募集という新たな取り組みに挑戦しています.詳細は本年度の研究発表会で報告予定ですので,産学連携の機会としてぜひご活用ください.今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします.
吉永美香: 人類はどこへ向かうのか
第8 期に引き続き,副会長を拝命致しました.この数年,気候変動は一層荒々しい形で我々に迫るようになりました.私の住む名古屋では40℃がさほど珍しい気温ではなくなりました.専門外ながら私なりに調べたところ,温暖化で極地の気温が上昇し,勢いが弱まり蛇行するようになった偏西風が高気圧をトラップするのだそうです.高気圧はいつも同じところでトラップされるわけではありません.今年5 月には欧州の多くの地域で気温が40℃を超し,多数の熱中症被害が発生しました.この原稿を書いている8 月現在はドナウ川が川底を露呈しています.世界中のあちこちで文字通り気候が変わっているにもかかわらず,人類は生成AI を利用するために貪欲に電力を欲しています.我々はいったいどこへ向かおうとしているのでしょうか.厳しい状況ではありますが,持続可能な社会を諦めることなく,学会として行動していきたいと思っています.何卒,お力添えをお願い致します.
秋澤 淳: 再生可能エネルギーを地域の発展にどうつなげるか
2050 年カーボンニュートラルに向けて数多くの地方自治体が脱炭素を掲げています.脱炭素先行地域が約100 ヶ所選定されプロジェクトが進められていますが,具体的な成果はまだこれからの状態です.脱炭素とは単にCO2 排出量を減らすことではなく,地域に賦存する再エネを活用して地域のエネルギー自立を促し,従来外部に支払ってきた燃料費の支払いを内部化し,地域の経済を活発化させることでもあります.東京や大阪などの大都市を除けば,地域に十分に再エネがあるケースが多いと考えられます.地域スケールで捉えれば脱炭素の実現は可能性があるといえるでしょう.その一方で,必ずしも地域に再エネを設置し維持する事業者がいない点が課題となっています.再エネの地域実装に向けて,学会と地方自治体との連携は今後大事になると思います.本学会が技術のみならず社会・経済・教育などの多角的な視点で再エネを議論するプラットフォームになることを応援したいと考えています.
石井久史: 都市· 建築における太陽エネルギーの在り方
この度,2 期目の理事を拝命いたしました.どうぞよろしくお願い申し上げます.
昨今の社会情勢に目を向けますと,気候変動に起因する局地的豪雨災害や,国際情勢の不確実性を背景としたエネルギー価格の高騰など,新たな局面に直面しております.これらの課題を克服するには,持続可能で自立的なエネルギーシステムの確立と,それを支えるエコシステムの構築が不可欠です.特に,全エネルギーの7 割を消費する都市部において,太陽エネルギーの在り方を再考する時期が訪れています.BIPV は,都市部で新たな価値を生み出す可能性を秘めておりますが,未だ発展途上にあります.こうした課題意識に基づき,前期ではBIPV 特集を2 度企画し,国内外の専門家と共に現状の課題整理と今後の展望について議論を深めました.
本学会は,基礎研究から社会実装に至るまで,社会的に大きな役割を果たすテーマに向き合っております.私も会員の皆様と共に,科学的イノベーション創出に向けた環境整備に尽力する所存です.引き続き,宜しくお願い致します.
伊髙健治: 地域に役立つ再エネを目指して
この度,理事を拝命いたしました.あわせて地域脱炭素部会の部会長を務めております.伝統ある本学会のさらなる発展のため,微力ながら尽力してまいります.どうぞよろしくお願い申し上げます.
東日本大震災の直前に青森県の弘前大学へ異動し,太陽電池用シリコン原料がまだ高価だった頃に,そのコスト低減に向けたプロセス研究を始めました.価格が劇的に下がった現在は,二酸化炭素排出量を減らすため,水素を活用したシリコン製造プロセスを研究しています.また,地域特性を踏まえて,太陽光パネル上の積雪問題や,営農型太陽光発電の普及に向けたシミュレーション開発にも取り組んでいます.
灯油の消費量が全国一の青森県で化石燃料から脱却するには,再生可能エネルギーの地産地消が欠かせません.青森県に限らず,地域脱炭素は,その土地の特性を活かし,地域に裨益する仕組みをつくることが基本です.本学会が地域発の知見を持ち寄る場となるよう,努めてまいります.
伊藤耕祐: 健康で持続可能な暮らしを実現するために
私は福島県郡山市の日大工学部で「再エネで自立し,健康で快適に暮らせる家」の研究に機械屋の視点から取り組んでいます.東日本大震災・原発事故から15 年余り,ふくしまのベンチャー企業は,再エネ普及に向け精力的に活動しています.再エネの技術開発や普及の仕事に就いた卒業生も増えています.一方で,いまだ不自由な生活を余儀なくされている方々もいらっしゃいます.二度とそのような人を出さず,皆が快適かつ持続可能に暮らすためには,太陽エネルギーの利活用を促進することが不可欠です.
この度,第9 期理事を拝命いたしました.約10 年前に100%再生可能エネルギー研究部会(現 部会)に加えていただいて以来,当学会で出会った様々な方々から多くのことを学びました.技術の研究・教育に携わる者として,当学会の発展に微力ながら尽力してゆく所存です.今後も皆様方からのご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします.
伊藤省吾: 「脱炭素ソーラーフューエル部会」の発足
このたび,2 期目の理事を務めさせていただけることになりました.引き続きご支援のほど,よろしくお願いいたします.また昨年度(2025年11 月6 日)に新しく「脱炭素ソーラーフュー
エル部会」を発足させて頂くことになりました.関係者の皆様,ありがとうございます.当該新部会は,太陽エネルギーを元とした長期貯蔵・輸送が可能な「燃料」を見出すために,多くの皆様の研究開発動向と意見を集約し,設立の運びとなりました.本部会は企業とアカデミアが協力し,次世代の「カーボンニュートラル燃料」の実現に向けた活発な議論と研究推進の場を提供します.その対象には,太陽光を利用した水電解やCO2 還元にとどまらず,光触媒反応,光化学的手法,さらにはバイオマスや持続可能航空燃料(SAF)など,多様な技術領域を包含します.これから奮ってご参画のほど,よろしくお願いいたします.
伊藤雅一: 理事就任にあたって
この度,理事を拝命いたしました.学生時代からのご縁で本学会に20 年以上お世話になっております.専門は太陽光発電システムですが,大量導入される再生可能エネルギーが系統に与える影響を考え,電力系統工学についても勉強しているところです.恥ずかしながら,最近は事務作業に追われ研究の時間がほとんど取れておらず,理事としての活動を機に,その解消法も考えていきたいと思います.大学では,発電・エネルギー分野を含む学科のカリキュラム設計や,学部生・大学院生の研究指導にも力を入れております.入試や学科運営にも関わる中で,若い世代に太陽エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーの面白さを伝え,次世代の技術者を育てていきたいと考えています.
研究と教育,両方の視点から,微力ながら学会の発展に貢献できればと思います.どうぞよろしくお願いいたします.
植田 譲: 太陽エネルギー利用技術の発展とともに
持続可能なエネルギーシステムの実現とカーボンニュートラルの達成には,太陽エネルギーの更なる利用拡大が必須です.健康で安全な暮らし,豊かで便利な暮らしに欠かせないエネルギーですが,まずは日々降り注ぐ太陽光を上手く利用し,追加のエネルギー消費を減らすこと.追加でエネルギーが必要なときは電気を使うこと,そしてその電気は再生可能エネルギーで発電すること.当学会はこれらを広くカバーし様々な分野の専門家が集まり学術交流を行う絶好の場です.
私自身は,太陽光発電システムなどの分散型電源の大量導入に向けた研究を行っていますが,お天気任せの太陽光発電を主力電源としていくには,エネルギー需要,蓄電,送配電など多くの技術を横断的に利用する必要があります.情報技術の発展とAI の進化を支えるには電力が必要ですが,これらの技術もまた,持続可能な電力供給を支えてくれるでしょう.
これからも新しい技術を学びながら,皆さんと学会活動を盛り上げていきたいと思います.
大竹秀明: 不撓不屈
第9 期の理事(気象・地球環境・風力・波力・その他の分野)に就任致しました.第8 期も理事として活動しておりましたが,昨年度は病気により,ほぼ1 年間活動ができない状態でした.現在は,リハビリしながら活動を開始しております.このような中,先の選挙では多くの支持を頂きありがとうございます.このような中,先の選挙では多くの支持を頂きありがとうございます.第8 期の活動だけでなく,その前からの活動から評価頂いた結果と思います.また,太陽光発電部会長を加藤新会長よりご指名を受け,お引き受けすることにしました.今後の太陽光発電分野では課題も山積みと思いますが,ひとつひとつのテーマに目を向け部会セミナーなど通して皆様と議論を深めて参りたいと思います.教育委員会,編集委員会,研究発表会運営委員会にも籍を置きますので,各委員会での活動から学会の活性化に向けて議論を進めていこうと思います.よろしくお願い致します.(本文の作成には生成AIは利用しておりません.)
桶 真一郎: 再生可能エネルギーが拓く,豊かで平和な社会
三期目の理事を拝命いたしました.昨年度,当学会は創立50 周年を迎え,今期より次の50年すなわち100 周年に向けた新たなフェーズに入りました.これからの10 年は,世界的に深刻さを増す気候変動を抑え込めるか否かを左右する重要な局面といわれています.再生可能エネルギーの活用は,気候変動の抑制にとどまらず,社会そのものをより良いものへと変える力を持っています.化石燃料への依存が地域や世代,経済力の格差を生み,さまざまな争いの火種となる社会から,再生可能エネルギーを活かし誰もが豊かに暮らせる平和な社会へと転換する力です.会員の皆様の経
験や知見は,その実現に大きく貢献するものと確信しております.理事として,皆様がお力を存分に発揮できるよう,微力ながら働く所存です.どうぞよろしくお願い申し上げます.
木村英樹: 国産太陽エネルギーの必要性を改めて世に問う
ウクライナ侵攻やイラン情勢の悪化が続き,ホルムズ海峡を通過する原油や,その精製原料であるナフサの輸入に支障が生じ,産業活動に影響が及びました.原油の高騰と円安の進行によるエネルギー価格の高騰を受け,国産エネルギーの重要性が再認識されたと思います.また,自然災害に伴う大規模停電の発生も懸念され,独立して稼働する太陽光発電や太陽熱利用設備への期待も高まったと感じます.一方で,再生可能エネルギーの利用に対して依然として否定的な見方が存在することも事実であり,政策面においても順風とはいえません.
このような状況に対し,日本太陽エネルギー学会には,科学的根拠に基づき,専門家の知見を社会へ分かりやすく発信する役割が求められます.私自身も将来的にはメガソーラー施設の設計・施工に携わり,CO₂ 排出量とエネルギーコストの削減に貢献したいと考えています.学会員の皆さまには,今後ともご指導を賜れますと幸いです.
後藤雅博: 持続可能な太陽エネルギー活用による循環型社会の実現
今期より2 年間,関西支部長ならびに学会本部理事を拝命いたしました.
私はこれまで,薄膜S(i アモルファス,微結晶),ヘテロ接合などの太陽電池の研究開発からモ
ジュール開発,量産技術開発に携わってまいりました.また,本学会を通じ,太陽光発電に加え,バイオマスや光触媒をはじめとする多様な太陽エネルギー利用技術に触れ,多くの刺激と学びを得ております.
近年,地球温暖化の影響はますます顕在化し,2030 年問題として語られてきた課題も,既に私たちが直面する現実となっています.今夏から使われるようになった「酷暑日」に象徴されるように,再生可能エネルギーの普及と技術革新の重要性を改めて実感しております.
本学会が産学官の知見を結集する場として発展するよう努めるとともに,持続可能な循環型社会の実現に微力ながら貢献してまいります.皆様のご指導,ご支援を賜りますようお願い申し上げます.
小林広武: 太陽エネルギー利用技術のさらなる進展に向けて
引き続き理事を務めさせていただきます.よろしくお願いいたします.
本学会では,教育委員会の委員長を仰せつかっております.当委員会では,太陽エネルギーとその利用技術について広く知っていただくことを目的に,大学教養課程や中・高校生を含めた一般の方々を対象とした,学習・教育用のスライドと動画を作成しております.完成品は,順次学会ホー
ムページとYouTube で公開していますので,奮ってご活用いただければ幸甚です.
カーボンニュートラルに向け,太陽光発電,太陽熱利用,ソーラー建築,農業などの各分野技術の複合化,融合化も一層重要になっています.これらの利用技術を総合的に扱っている本学会は,このような分野横断課題を含めた種々のニーズに対応できる隋一の学会であり,教育委員会活動を含め,今後とも,太陽エネルギー利用技術全体の進展に向けて尽力して行きたく思っております.
斉藤雅也: 北海道から発信するソーラーアーキテクチャー
このたび,引き続き理事を務めさせていただくことになりました.私は建築環境学を専門とし,太陽エネルギーをはじめとする地域に備わる自然のポテンシャルを活かした建築・都市環境のデザイン研究に取り組んでいます.また近年は,人が環境をどのように認識し(想像温度),暮らしや行動につなげるのかという視点から研究を進めています.
昨年度には『ソーラーアーキテクチャーハンドブック』が刊行されました.太陽エネルギーと建築・都市との関係を体系的に整理した貴重な成果であり,多くの実務者や学生に活用していただきたいと考えています.理事として,本書を活用したセミナーや勉強会の開催を支援し,知見の共有や人材育成に貢献したいと思います.
また,5 月の総会では上士幌町の竹内町長に基調講演をいただき,地域産業を基盤とする実践的な発信の重要性を改めて感じました.北海道だからこそ見える課題や可能性を日本太陽エネルギー学会の皆様と共有しながら,北海道発の有用な知見を積極的に発信し,国内外における太陽エネルギー利用の発展に貢献していきたいと思います.
佐藤理人: 豊かな自然と育む太陽エネルギー利用
この度2 期目の理事と,新たにソーラー建築部会の部会長を務めさせていただくことになりました.四国は豊かな自然に恵まれ,温暖で日射量も多く,太陽エネルギーを利用しやすい恵まれた地域です.こうしたポテンシャルを活かしつつ,積極的に太陽エネルギーを活用する新たな住まい方を目指して,昨年度は築70 年の古民家を購入の上,耐震改修を行い,今年度は大学の資金協力を得て,トレーラーハウスを改修古民家に隣接して建設した日射透過型車庫に設置予定です.狙いは積極的な太陽エネルギー利用とすることはもちろんですが,半屋内空間として利用する古民家と,高断熱・高気密空間となるトレーラーハウス空間を行き来することで,新たな古民家の住まい方を見出せないかと考えています.今年度は四国の高松で大会発表もあり,瀬戸内海の豊かな景色とともに,太陽エネルギー利用とこれからの新たな住まい方についても議論ができればと考えています.
城石英伸: 有事に備える観点からも再生可能エネルギー推進を
私は電気化学を専門とし,太陽エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーの有効活用のために,燃料電池の非白金系酸素還元触媒や二酸化炭素・アンモニア電解還元触媒の研究をしております.今年度は,高専の内地留学制度でつくばの物質・材料研究機構に出向し,二次電池の研究をされている野村博士のもとでお世話になっております.上記の研究内容からは少し外れますが,新しい技術を取り入れる良い機会であると考えております.また,校務から解放されて,少し時間的余裕が生じますので,本学会に貢献できるように頑張っていく所存です.
近年,ネット上にあふれる誤情報に惑わされ,再生可能エネルギーを推進しないほうがいいという風潮が広がっていると危惧しております.イランとアメリカの紛争では,エネルギーセキュリティという観点からも再生可能エネルギーを推進する重要性が示されました.日本が世界から取り残されないように,微力ながら尽力してまいりたいと考えております.
髙橋明子: 変化する世界とこれからのエネルギーを考える
第8 期に引き続き,理事を務めさせていただきます.第8 期では,学会活動を通じて幅広い分野の研究者・技術者の皆様と交流し,改めて,本学会が研究分野や世代を越えた交流の場として果たしている役割の大きさを実感しました.
近年,気候変動への対応に加え,国際情勢やエネルギー価格の変動など,エネルギーを取り巻く環境が大きく変化しています.こうした中で,地域で生み出せる自然エネルギーは,脱炭素化だけでなく,エネルギー安全保障や持続可能な社会の構築において,ますます重要になっています.私はこれまで,太陽光発電システムと蓄電池,水素などを組み合わせたエネルギーマネジメントや系統安定化制御,機械学習を用いた日射量の推定・予測などに取り組んできました.これらの研究で得た知見を学会活動にも生かしながら,皆様とともに,微力ながらも学会活動を盛り上げていきたいと存じます.どうぞ,よろしくお願いいたします.
盧 炫佑: 住宅における省エネと快適・健康を実現する取り組み
建築環境工学(主に空調分野)を専門とし,住宅における「快適・健康」と「省エネルギー」の両立を実現する,太陽エネルギーを活用した全館空調システムの研究開発に取り組んでいます.ま
た,その要素技術として,太陽光・太陽熱を直接利用するPVT(太陽光熱一体型ソーラーパネル)や,約40 年間にわたり効率向上が見られなかった集熱器の超高効率化に関する研究開発を推進しています.
さらに,太陽熱利用住宅に限定されない汎用的な全館空調システムや,全熱交換換気システムなどの開発も手がけています.これらは太陽熱利用の有無にかかわらず,システムの利点を最大限に活かして全館空気清浄機能を追加し,室内空気質の向上に貢献するシステムとして普及に努めています.
学術活動・開発のほか,地元の大学にてこれら自然エネルギーの活用に関する講義を担当する機会をいただき,次世代を担うエンジニアの育成にも尽力しています.
塙 藤徳: 自家製バイオマス燃料
2006 年春竣工の自宅を木造で建てた時,エネルギ−と食料の自給を目指して,当時の関東ではほぼ皆無のペアガラスの樹脂サッシ(後に内窓を設置),独自考案の太陽熱利用システム(夜間の放射冷却による加湿効果あり),同柱と梁を顕しにした土壁に似た構造の断熱壁(建物の健全性確保)と太陽光発電を取り入れ,建物周囲には畑と森を計画した.原発事故による十年間の畑での耕作と太陽熱利用システムの停止は痛手だったが,その他の設備は順調に稼働した.木々が成長し森になり(近年はカブト虫やクワガタ虫がいる),その日射遮蔽効果,葉からの水の蒸散効果による周辺温度の低下を実感する.森の手入れは大変で大量の剪定枝が出る.太さ5 cm 以上の枝はゴミに出せない為,その処分にロケットストーブ(燃焼開始時を除き視覚できる煙は無い)を自作し時間を見つけて燃やしている.今春はそれを使ってバーベキューをした.自家製バイオマスのエネルギ−利用である.
原田真宏: 脱炭素化に必要なものは
今期で3 期目となりますが,少しでも学会のお力になれればと考えています.
皆さまの記憶にも新しいと思いますが,3 月のホルムズ海峡封鎖により,ナフサ等が不足となり,私が所属する建設業界では,トイレや風呂等の受注停止が起きました.また,身近なところでは食品のパッケージがモノクロになる等,これまで考えたことがないことが起こり,またいかに化石由来原料に依存しているかが浮き彫りになったように感じました.
今年度より学会活性化委員会に参画させていただいており,先日中学生会員が発表する場に立ち会いました.発表や質問に対する受け答えが何よりも素晴らしく,自分が中学生の時を考えると,自ら危機感を持って,新しいことにチャレンジしているのをみて,良い環境で育っているなと思いました.脱炭素化はハードルが高いことですが,少しでもこのような学生が増えていけるような環境が作れればと思います.
堀端 章: バイオマスエネルギー……灯りの原点
この度,理事に選任いただきましたことを光栄に存じます.3 期目となり,慣れてもまいりましたので,より一層お役に立てるよう努めてまいります.振り返れば,バイオマスエネルギーの利用は,煮炊きの燃料と灯りに始まります.近年,研究対象としているカヤの樹の種子油は,灯明油として特に優れています.京都府八幡市の石清水八幡宮は,鎌倉時代に全国の油流通を統括した油座を監督していました.その南総門の左側には火之神の祠,右側にはカヤの御神木があり,さらに振り向くと,八幡産の竹を用いて電球を発明したエジソンの記念碑が建っています.これらが一つの空間に並び立つことで,火―灯明―電球へと続く灯りの変遷を身近に感じ取ることができます.再生可能エネルギーの一翼を担うバイオマスエネルギーの深化を図りつつ,時には立ち止まり,歴史のなかで人びとの生活を支えてきた営みに思いを馳せることも,研究推進の意気高揚につながります.
馬上丈司: 再生可能エネルギーによる真に持続可能な農業の実現
この度,新たに理事に就任させていただきました.大学院では公共政策を学び,地方自治体における再生可能エネルギー政策の立案や運用に関する研究を専門にしていました.博士後期課程を修了した翌年に,千葉大学発のスタートアップとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し,間もなく15 年目になります.現在は営農型太陽光発電(APV)の実践と社会実装に向けた研究を行っ
ており,国や地方自治体における制度・政策分析のほか,発電設備下での農作物の栽培実証や生態系調査などにも関わっています.
営農型太陽光発電に取り組み始めた背景は,わが国における再生可能エネルギーの導入ポテンシャル拡大と共に,化石燃料に依存した農業生産を電化と再生可能エネルギー電源の利用により,真に持続可能な形としていきたいと考えたためです.次世代の教育にも力を入れ,これからの地域におけるエネルギーと食の担い手を増やしていきたいと思います.
松尾廣伸: ピンチはチャンス
「ピンチはチャンス」,「禍を転じて福と為す」と言いますが,この国にとって今まさにその時なのではないでしょうか?それにもかかわらず,ピンチはどんどんと延長され続け,チャンスへの転換ができずにいるように思います.「今やらなくていつやるの」を繰り返し,旧態依然とした様々な構造を維持し続けようとしています.これで良いのでしょうか?変えましょう.変わりましょう.できることから.私は「電気エネルギーと再生可能エネルギーを用いた持続可能な社会システムの構築」を主題として,PV/T による電熱併給,太陽熱と放射冷却を用いた空調,非電化農村部におけるマイクログリッド,各種蓄電システム,無水地域へ水供給などの研究・開発に電熱両面から携わっています.
この度再び理事を拝命いたしました.十分な活動ができていると言い兼ねますが,微力ながら本会が少しでも盛会となりますよう皆様と共に歩ませていただきたく存じます.どうぞ,よろしくお願いいたします.
松原弘直: 地域からの脱炭素化と自然エネルギー100%の実現に向けて
世界ではカーボンニュートラルに向けて2030年の自然エネルギー設備容量3 倍化の国際合意,さらに様々な国や地域での自然エネルギーへの転換が加速しています.日本国内では,地域からの脱炭素先行地域などの取り組みが進むなか,屋根上や農地などをフル活用した抜本的な自然エネルギーの導入加速化が急務です.そのために,地域との共生を大前提に,電力系統や蓄電池などのインフラ整備や電力市場の改革,熱や交通とのセクターカップリングによるスマートエネルギーシステムの構築も不可欠です.その中で,エネルギー永続地帯研究や4DH フォーラム等の活動を継続し,匝瑳市の脱炭素先行地域において,地域発の脱炭素化の実践も進めてきました.
これからも,国内外の研究者・実践者と緊密に連携しながら,学術的な研究と地域での実践的な活動,および具体的な政策提言を融合させ,日本における自然エネルギー100%地域の実現に向けて取り組んでいきたいと思います.
山田 昇: 若手と産学をつなぐ学会を目指して
このたび,法人第9 期の理事を務めさせていただくこととなりました.太陽エネルギー(光・熱)の有効利用に関する研究に取り組んでいます.活性化委員会委員長として,学生・若手研究者が発表し,分野や所属を越えて交流できる若手研究発表会の企画・運営を進めています.また,学会が有する専門知と産業界の課題を結び付けるため,会員企業と学会員との研究マッチング制度の試行にも取り組んでいます.太陽エネルギーを取り巻く課題は,発電・熱利用にとどまらず,建築,地域,環境,材料,経済など多岐にわたり,異分野・産学間の連携が一層重要になっています.本学会が,世代や立場を越えて知見を共有し,新たな研究や社会実装のきっかけを生み出す場となるよう,会員の皆様のご意見を伺いながら,微力ながら学会の活性化と発展に貢献してまいります.どうぞよろしくお願い申し上げます.
山本博巳: 再生可能エネルギーの多様性を活かして組み合わせ利用する
日本太陽エネルギー学会は,太陽光・太陽熱だけでなく,太陽エネルギーから派生した水力,風力,バイオマスや,太陽エネルギー以外を源とする地熱,潮汐など,多様な再生可能エネルギーを対象とします.私の再生可能エネルギーの組み合わせの研究では,太陽光発電・風力発電に蓄電池・水素貯蔵システムを組み合わせて,安定電力を供給するとき,両電源の出力が互いに補完する
ため,太陽光発電だけあるいは風力発電だけで供給するよりも,安定供給コストを1 から3 割削減できます.さらに,太陽光発電と風力発電にバイオマス発電を組み合わせると,天然の貯蔵性燃料であるバイオマスが水素貯蔵の一部を置き換えることで,安定供給コストを下げられます.このように,多様な再生可能エネルギーは,多様性を活かして連携することに大きなメリットが有ります.本学会において,多様な再生可能エネルギーの連携を深める活動に貢献していきたいと考えます.
雪田和人: 再生可能エネルギーへの期待と現実の解消を目指して
ゼロカーボンを目指した都市におけるエネルギー構想図に注目すると,様々な場所に太陽光発電が描かれている.特に,建物の壁や移動体などにも太陽光発電が描かれており,多くの期待がなされていることがわかる.このような状況下で,“ 次世代太陽光発電” となると,これまでと同等あるいはそれ以上の発電量を期待している方が多い.しかしながら,次世代太陽光発電は,これまで設置できなかった場所においても設置できるようになったものであり,その期待に応えられるかどうかは現在わからない.
若輩ものの専門家としての私としては,再エネによる発電装置は,現在においても,表面化してきた様々な課題があり,理想(専門家以外の考え)と現実(専門家の考え)との間において温度差があると,最近強く思うようになってきた.
そこで,このような温度差の解消を目指し,当学会にて研究活動をしていきたいと思う.
吉田茂雄: 人事を尽くして天命を待つ
メーカで航空機・大型風車の研究開発に従事した後,2013 年に九州大学・応用力学研究所に移籍し,2021 年から佐賀大学・海洋エネルギー研究所を兼務し,大型風車/ 浮体式洋上風車の統合最適化法,空力/ 空力弾性モデリング,各種要素技術などに取り組んでいます.
風力発電は,ポテンシャル,コスト,環境影響などの社会的指標に優れた技術ですが,日本の電力に占める風力の割合は,まだ世界平均の数分の一に過ぎません.風力発電は,長期的に取り組むべき技術ですが,それを海外依存で手軽に進めるのか,国内産業化を目指すのかの大きな岐路に立っています.
飛鳥時代の白村江の戦い,鎌倉時代の元寇,幕末の開国,日清・日露戦争,大東亜戦争・戦後の復興など,いずれもむちゃくちゃな話ですが,日本人は,良く乗り切ってきたと思います.一方で,必死に頑張っているところには,運も味方するような気もしています.
やれるだけやっていきたいと思います.

