2022年研究発表会:講演プログラムと発表概要

(2022年10月26日更新)

★各セッションともに 発表14分 質疑5分 交替1分 計20分の発表時間になります。

11月10日(木)

セッションA1(10:00-11:20):気象Ⅰ

1   衛星画像と地理情報システムを用いた雲の発生しやすいエリア判別手法
    ※Nurin Amira Binti Ahmad Remy,重信颯人,伊藤雅一(福井大学)
     太陽光発電システム(PV)の出力は雲などの気象状況に左右され、電力系統安定性低下が懸念されている。一方で、土地の利用方法により、雲のできやすさが変わると考えられることから、ここでは突発的な雲が発生しやすいエリアの解析のため、衛星画像と地理情報システム(GIS)を用いた。曇天率や雲の変動に加え、土地利用情報から雲移動、突発的な雲の発生を解析した。結果、田や建物用地で突発的な雲が発生しやすいと考えられる。
2   積雪した太陽電池モジュールにおける熱収支とアルベドの影響
    ※伊髙健治,外崎滉大郎(弘前大学)
     青森市に設置した太陽電池アレイ試験体について、モジュール裏面温度および熱流と気温・日射量の測定を行った。積雪時において、気温・日射量が滑雪現象に与える時の振る舞いについて報告する。モジュール裏面温度の振る舞いはパネル上の雪の有無と日中の日射や夜間の放射冷却によって大きく変化し、滑雪直前には熱流入の方向反転が見られた。また雪面からのアルベドの影響が大きいことが判明した。
3   日射特性曲線による水平面全天日射量の検討
    ※馬場弘(元北見工業大学),金山公夫(北見工業大学)
     NEDOから公開された長沼、つくば、岐阜、鳥栖及び沖永良部の5地点について、2012~2015年までの4年間の水平面全天日射量HQH(IT,IJ)及び分光日射量の波長積分値S_HX(IT,IJ)を1時間毎に整理した。これらの日射量を、年代を無視して降順に並べると地点と各月によって特有の曲線(日射特性曲線)を示すことが分かった。 これを用いて日射量に影響を与える日照率影響等について検討した。              
4   新旧NEDO日射量データベースを用いた日射量の比較(第2報)
    ※板垣昭彦,宇都宮健志,佐々木潤(一般財団法人日本気象協会)
     著者らはNEDOの委託研究の一環として,わが国における日射量データベースの整備を継続している.2021年4月には,月平均の日射量データを収録したMONSOLA-20 ,毎時の気象データを収録したMETPV-20がNEDOのホームページで公開された.これらは,従来のMONSOLA-11およびMETPV-11の後継版である.昨年度の研究発表会では、新旧の日射量データベースについて、主に水平面日射量の違いについて述べたが,今回は,水平面日射量の違いが斜面日射量に及ぼす影響等について発表する.

セッションA2(12:20-13:40):気象Ⅱ

5   年間上空カメラ観察画像の分析に基づいた雲層数と日射との関係
    ※伊藤翼,坂東隆宏,脇坂颯,宮原由紀,相澤毅,針谷達,滝川浩史(豊橋技術科学大学),平塚元久,真木志郎(株式会社エイム)
     2台の全天球カメラと全天日射計を用いて,2021年6月から2022年5月まで,豊橋市の日中の空の様子の観測を行った。本研究では,この結果から,雲の層数が日射強度に与える影響について統計的に解析し,天空画像解析を用いた予測システムにおいて,何層までの雲の影響を考慮すべきか検討を行った。
6   雲層数と日射強度の変動周波数との関係
    ※坂東隆宏,伊藤翼,脇坂颯,宮原由紀(豊橋技術科学大学),相澤毅(東京大学),針谷達,滝川浩史(豊橋技術科学大学),平塚元久,真木志郎(エイム)
     PV発電予測において,多層の雲の動きを把握する必要性を指摘し,何層までを考慮するべきかを検討しつつある。一方,日射変動の速い遅いが雲層数によって一定の傾向があるのかどうかを知ることも有益であり,今回,この特徴について年間を通して分析した結果を報告する。
7   2021年8月お盆嬉野市中心九州集中豪雨 (計算雨量823 mm実測雨量796mm誤差4%)
    ※藤井修(再生可能エネルギー研究所TRB)
     令和2年7月に熊本県熊地方で球磨川が決壊し、多くの人命を失った。100年に一度の水害が毎年のように来ているが、この論文の方法で多くの人命や財産を救う事が期待できる。海面水温を測定する事により、予報をだし、人命を救う事が可能である。令和2年に学会発表した。今回は計算雨量823 mm実測雨量796mm誤差4%、ほぼ一致していると言える。
8   台風14号(2022年九州上陸)の計算雨量は397mmでアメダス213mm(台風11号のpowerは9.03E+15ワットで日本一次エネルギーの240年分)
    ※藤井修(再生可能エネルギー研究所TRB)
     2022年の台風について計算し、検証した。 ① 台風4号の計算雨量は124mmでアメダス139mm、誤差11% ② 大型台風11号の総雨量は1.9E+12tonで日本年間降水量の2.9年分。日本一次エネルギーの240年分。powerは9.03E+15ワット。台風エネルギー回収論文1)水の生産と砂漠緑地化論文2)を既に提出している。 ③ 九州上陸し、被害を与えた台風14号の計算雨量は397mmでアメダス213mm

セッションA3(13:50-14:50):気象Ⅲ

30   日本における太陽光発電量と電力需要量の 年々変動の関係
    ※渡邊武志,岡和孝,肱岡靖明(国立環境研究所)
     30年間の数値シミュレーションデータを用いて、日本全体での太陽光発電、電力需要及び残余需要の変動性の評価を行った。年平均値の解析の結果、太陽光発電と電力需要は正の相関関係があり、この関係性により残余需要の変動性が抑えられることが分かった。
31   ひまわり8号データとAI手法による日射量推定モデルの開発
    ※宇都宮健志,佐々木潤,岡田牧,吉川茂幸,山口浩司(一般財団法人日本気象協会)
     太陽光発電の導入拡大に伴い、高精度な日射量・発電量の面的な情報がより求められるようになってきている。本研究では、ニューラルネットワークと放射伝達モデルを組み合わせて、ひまわり8号のマルチバンドの情報から日射量を推定するモデルを開発した。今回は、開発したモデルと推定結果の概要について報告する。
32   地球温暖化により活発化する地殻ポンピング運動に対する積雪荷重と海水位と気圧の影響を解明するスポンジ断層構造モデル
    ※鈴木高広,坂本勝(近畿大学)
     海面上昇と積雪荷重と強い低気圧が地殻ポンピング運動の規模を拡大し、大規模地震が多発化していることを既に報告した。日本海溝の巨大な断層帯が水分を多量に含むことが明らかとなり、地殻ポンピング運動に水が関与していることを検証するスポンジ断層構造モデルを考案した。地球温暖化により巨大地震が多発化するメカニズムを解明することで、資源作物による温暖化抑止が急務であることを報告する。

 

セッションB1(10:00-11:20):ソーラー建築事例と提案

12   太陽エネルギーを活用したエネルギー自立住宅における年間実証に関する研究
    ※盧炫佑,水野朝弘,相曽 一浩(OMソーラー株式会社)
     本報では、健康・快適な住環境を確保した上で、脱炭素社会の実現のため、太陽熱・排熱利用暖冷房換気給湯システム(OMX)と蓄放電システムを搭載した住宅において、リアルタイムでゼロエネルギーハウスを達成するAll Time Real ZEH(エネルギー自立)を目指した年間実証を行い、その結果を報告する。
13   太陽光発電・蓄電池・電気自動車を連携させたZEH住宅の実証 冬期及び春期における模擬電力負荷実験の結果
    ※佐藤廉,三田村輝章(前橋工科大学),田中和久,永井俊男,石田房嗣(石田屋)
     本研究は、太陽光発電、蓄電池、電気自動車を組み合わせたシステムを搭載した群馬県藤岡市に建設されたモデル住宅を対象として、居住状態を想定した模擬電力負荷実験を実施し、本システムによる電気の自給自足の可能性について検討することを目的とする。本報では、冬期及び春期における実験結果について報告する。
14   エネルギー効率向上のための蓄電システムの導入によるディーゼル発電小規模実験
    ※野田靖仁,中津陽太,松尾廣伸(静岡大学)
     小型のディーゼル発電機(6kVA)+負荷に蓄電システム(5.5 kW – 5 kWh)を導入し,発電効率向上実験を行った.その際リチウムイオン電池の電圧もしくは充電状態(SOC)による発電機の発停制御および負荷(0~5000 W)をパラメータとして,各種変換効率等を評価した.その結果,例えばSOC制御の負荷300 W時において,エネルギー効率は発電機単体の場合よりも344%の改善がなされた.
15   日本に建つパッシブハウス認証住宅の仕様分析
    ※吉永美香(名城大学)
     ドイツのパッシブハウス協会(PHI)が認証するパッシブハウス(PH)基準は、世界でもトップレベルの省エネ・低炭素住宅として知られており、既に日本国内でも50件余りの施工実績がある(2022年9月現在)。本論文では、今後PH認証レベルの高断熱住宅を日本の環境で安価に普及させるために、既存PH熱的性能を整理し、報告する。

セッションB2(12:20-13:40):省エネルギー街区の実態調査

16   太陽光・太陽熱利用による木造戸建て住宅のエネルギー自立性評価に関する研究 (第二報) ライフスタイルの変化によるエネルギー消費動向の調査
    ※高橋龍馬,西川豊宏(工学院大学),丸谷博男(株式会社エーアンドエーセントラル),持田正憲(武蔵野美術大学)
     2050年にゼロカーボンを目指す取り組みとして新築戸建住宅への太陽光発電の設置義務化が推進されている。そのため、住宅のエネルギー消費動向を把握することは設備容量の最適化を図るうえで有益である。本報では新型コロナウイルス感染防止のため外出制限が生じた期間のエネルギー消費動向の実態に着目し、実居住下での計測データから感染流行前との比較から、外出制限の住宅におけるエネルギー消費の実態を明らかにする。
17   複数の戸建住宅における電力融通効果の検証
    ※小林雅之,村上伸太郎,藤本卓也(大和ハウス工業株式会社)
     近年、太陽光発電等で発電した電力を自家消費することが系統安定化の観点から、推奨されている。戸建住宅においては、単体の住宅で完結するよりも、複数の住宅間で発電電力を融通することで自家消費量を向上させられる。そこで本論文では、5~6世帯の住宅で構成した5つのマイクログリッドにおいて、実際に電力融通を実施した結果を示す。さらに、各世帯の電力消費パターンや世帯構成が電力融通効果に及ぼす影響を分析する。
18   新型コロナウイルス感染症拡大による住まい方・エネルギー消費の変化
    ※河本陸,東山純也,湯淺淳,太田勇(株式会社ミサワホーム総合研究所),平山由佳理(工学院大学)
     新型コロナウイルス感染症拡大による住まい方・エネルギーの使い方の変化について、埼玉県熊谷市に所在する分譲住宅地を対象として実施した住まい方に関するアンケート調査の結果と、各世帯に設置するHEMSで記録したエネルギーデータを用いた住まい方が変わったことによるエネルギー消費の変化について報告します。
19   行動経済学的手法を用いた省エネルギー方策に関する一検討
    ※西谷強,池田和樹,岩﨑祐翔,田中蒼,雪田和人,後藤時政,水野勝教,後藤泰之(愛知工業大学)
     近年,カーボンニュートラルの実現に向けて,電気エネルギー分野ではエネルギーの高効率化が求められている。そのため,省エネルギー技術の一つとしてエネルギーマネジメントシステム(EMS)が注目されている。著者らは,家庭や事務所などにおいてエネルギー消費が大きいと予想される空調機器に注目し,検討を行ってきた。そこで本論文では,空調機器での電力消費行動に関して行動経済学的手法を用いた効果の検討を行った。

セッションB3(13:50-14:50):応用利用・エネルギー貯蔵

20   光電気化学水素生成のための気泡付着力の計測および気泡制御の検討
    ※大澤竜也,亀谷雄樹(千葉工業大学)
     光電気化学反応による水素の生成は太陽光を化学エネルギーに変換する技術である。電極表面や窓材の表面における気泡の付着は、エネルギー変換を阻害するため気泡付着の計測と電極周辺の気泡除去は重要である。本研究では、水素生成のための気泡付着の計測評価方法の構築を行うことで、様々な素材や計測条件での測定を可能とした。また、気泡生成実験を行い気泡流の除去に関する検討を行った。
21   金属捕集発電システムのための電解質含有PVAゲル形成および機械駆動への応用
    ※守矢和司,葛西凌人,亀谷 雄樹(千葉工業大学)
     エネルギーハーベストとは身近にあるエネルギーを電力へと変換する技術であり、エネルギーの有効活用ができる。本研究では、ホウ砂架橋PVAゲルを用いて金属捕集発電システムを構築した。ゲル作製過程の確立を行い、その性能を放電曲線と分極曲線から定量的に評価した。また、実際に金属捕集発電システムをモーターへと接続して機械を駆動させ実験環境に適した形状のゲルの作製と様々な環境下での応用を目指す。
22   スプレードラム乾燥法と密閉容器を用いて調製した非白金系酸素還元触媒の評価方法の検討
    ※安田悠晴,樫村和明,林出帆,城石英伸(東京工業高等専門学校),亀田直弘(産業技術総合研究所)
     燃料電池の酸素還元触媒の開発では,回転リングディスク電極法が評価法として用いられるが,再現性が低いのが課題であった.そこで,その要因を分析し,溶液の酸素濃度の安定性を確認する方法の検討や,触媒インクを調製する際の振盪や超音波の条件が分極曲線に与える影響を研究した.触媒の分散状態によって,拡散限界電流は大きく影響を受けるが,酸素還元電流の立ち上がり電位はそれほど影響を受けないことが明らかとなった.

 

セッションC1(10:00-11:40):太陽電池Ⅰ

23   高配向高分子材料を用いた半透明有機薄膜太陽電池における電子輸送性材料の検討
    ※江口兼生,江頭雅之,渡邊康之(公立諏訪東京理科大学),斎藤慎彦,尾坂格(広島大学),深川弘彦(NHK放送技術研究所),長谷川宗弘,森井 克行(株式会社日本触媒)
     半透明有機薄膜太陽電池(ST-OPV)の評価指標の1つである光利用効率を向上させるためには、光透過性を保ち変換効率(PCE)の改善を図る必要である.PCE向上を目指し、高配向高分子材料を用いた逆構造ST-OPVにおける短絡電流向上を目的に,電子輸送材料の検討を行った。結果、既に逆構造有機ELで実績のある電子注入材料を電子輸送層に適用することでPCE向上を可能とする知見を得たので報告する。
24   酸化物系透明電極を用いた半透明型有機薄膜太陽電池の検討
    ※風岡巧実,江頭雅之,渡邊康之(公立諏訪東京理科大学),髙橋拓也,杉山睦(東京理科大学)
     タンデム型太陽電池は,単一の太陽電池と比べて光吸収波長が広がることから,より高い変換効率を得られることがわかっている.本研究ではタンデム型有機薄膜太陽電池のトップセルとして用いることが可能な半透明型有機薄膜太陽電池の検討を行った.両電極に一般的に用いられるITOよりも長波長領域の透過率が優れているITiOを用いることで変換効率は保ち,ボトムセルで吸収する光の透過性が向上したので報告する.
25   ポストプロセスフリー銀ナノワイヤーを用いた有機薄膜太陽電池における透明電極作製
    ※菅建太郎,江頭雅之,渡邊康之(公立諏訪東京理科大学),米澤徹(北海道大学)
     銀ナノワイヤーは高い透過性と導電性,優れたフレキシブル性を有しており,ウェットプロセスで成膜できることから,ドライプロセスによる金属電極に代わって半透明有機薄膜太陽電池の上部電極として期待されている.本研究ではポストプロセスフリーで成膜できる銀ナノワイヤーを半透明有機薄膜太陽電池の上部電極として用いることで,良好な発電特性と高い可視光平均透過率を得ることが出来た.
26   農業用有機薄膜太陽電池の作製及び評価
    ※下原直人,興梠璃宇,吉田和正,江頭雅之,渡邊康之(公立諏訪東京理科大学),チャタジー シュレヤーム,陣内青萌,家裕隆(大阪大学産業科学研究所)
     我々は有機薄膜太陽電池(OPV)の波長選択性に着目し,光合成有効波長の光を透過するOPVのもとで植物栽培を行うソーラーマッチング技術の実用化に向けて研究を行っている.本研究では農業用波長選択性OPVを作製するため,緑色光に特化した吸収波長域を持つ材料を発電層に採用した.さらに,その発電層の透過光を用いて光合成測定を行い,本研究で作製したOPVのソーラーマッチングに対する有用性について検討した.
29   ペロブスカイト結晶層成膜における半自動滴下装置を用いた貧溶媒滴下速度の検討
    ※齋藤直,柴山直之,池上和志,,宮坂力(桐蔭横浜大学)
     ペロブスカイト結晶の表⾯形状や結晶性を制御するためにスピンコート成膜中にクロロベンゼンなどの貧溶媒を滴下する貧溶媒法が取り入れられている。しかし滴下速度、滴下量のようなパラメータは必ずしも明確でない。本研究では、半⾃動滴下装置を⽤いて滴下速度を機械的に制御し、ペロブスカイト結晶膜モルフォロジーへの影響を明らかにした。

セッションC2(13:30-14:50):太陽電池Ⅱ

10   導電コートをもつPETフィルムで作成した電界カーテンをもつ太陽電池モジュールの試作
    ※西村亮,渡邉綾太,田邊泰雅(鳥取大学)
     乾燥地に設置する太陽電池モジュールに堆積する砂を除去するために電界カーテンを用いる研究である.積層ガラス板内に導電コートをもつPET薄膜で電界カーテンを作成し,ガラス板上の砂の動きを確認した.このことおよび先行研究の知見から,実用的な大きさの太陽電池モジュール受光面に電界カーテンをのせ,発電特性を測定した.電界カーテン電極の太陽光透過率減少が及ぼす影響は無視できる程度であった.
11   ハイブリッドCPV/PVモジュールの発電特性のフィールド試験による評価
    ※戸田皓太,原田貴寿,桶真一郎(津山工業高等専門学校),佐藤大輔,山田昇(長岡技術科学大学)
    本校と長岡技術科学大学は共同でハイブリッドCPV/PVモジュールを開発している。ハイブリッドCPV/PVモジュールは,Si単結晶太陽電池(Siセル)上に,3接合化合物太陽電池(3Jセル)を配置し,レンズと一体化したものである。フィールド試験の結果,モジュール総合効率は最大で33.0%に達した。しかし,全天日射の増加に伴う効率の低下が見られ,季節及び散乱比の観点から調査を行った。季節の観点から,スペクトルの影響が考えられる結果となった。
27   Siナノコーン/PEDOT:PSS太陽電池におけるコーン形状の制御とセル性能の向上
    ※氷室槙一,佐藤慶介(東京電機大学)
     Siナノ構造は、Si/PEDOT:PSS太陽電池の光反射率の低下およびpn接合界面の増加に有益であり、セル性能を向上させる手段として有効である.しかし,太陽電池の製造において、PEDOT:PSSの高い粘性やナノスケールの細孔形態へのPEDOT:PSSの低い浸透性により劇的な性能向上には至っていない.本発表ではSiナノコーン形状の制御によりPEDOT:PSSの浸透率向上および光反射率低下を図り、変換効率向上における同形態の有用性について報告する.
9   Bのイオン注入法によるp-BaSi2膜の作製および太陽電池応用
    ※青貫翔,都甲薫,末益崇(筑波大学)
     BaSi2は豊富な元素のみで太陽電池に適した特性を示すため,新規薄膜太陽電池材料として期待されている。太陽電池の基本構造はpn接合であるため,BaSi2膜の伝導型制御が必要不可欠である。しかし,大面積かつ高速堆積が可能なスパッタ法によるp型BaSi2膜の形成は実現していない。本研究では,Bのイオン注入法によりp型BaSi2膜を形成し,n型Siとのヘテロ接合型太陽電池の動作を達成した。

 

セッションD1(9:40-11:20):太陽光発電システム(応用システム)

33   太陽光発電を用いたマイクログリッドにおける蓄電デバイス導入の検討
    ※田中蒼,池田和樹,岩﨑祐翔,西谷強,雪田和人(愛知工業大学),久保直也,谷口和彦,森田祐志(株式会社きんでん)
     太陽光発電システム(PVS)を有効活用するため,蓄電システムの設置場所,導入方法と太陽光パネルの導入量について実験的に検討した結果を報告する。
34   電気料金高騰時における蓄電システム導入の経済性再評価
    ※木村湧哉,松尾廣伸(静岡大学)
     電気料金の高騰下における浜松市のPV既設住宅を想定して,購入電力最小制御を行う蓄電システム(BESS)導入した際の経済性の評価を行った.PVは3~10kW,蓄電池は0~20kWhをパラメータとした.その結果,BESSの追加導入では未だ採算が取れないが,大容量のPVを設置しており,PCS故障時に最適容量のBESSへリプレースする場合には利益が得られることが示された.また,支出最小制御の結果も示す.
35   PV電力平滑化制御による電力系統の需給制御への影響評価
    ※中橋大河,髙橋明子(岡山大学)
     本研究では,電気学会標準解析モデルを用いて移動平均によるPV電力平滑化制御および変動率制限の実施を行う.そして,電力系統の需給制御に与える影響の指標となる地域要求量,系統周波数偏差,および連系線潮流偏差を比較する.その結果,今回の設定条件においてPV電力平滑化制御の実施により,技術要件を適用することなく発電できる可能性を示す.
36   直流マイクログリッドシステムのシミュレーション評価手法の検討
    ※平田陽一,岩屋改,濵健斗(公立諏訪東京理科大学),安藤昇(Arise合同会社)
     住宅を想定したマイクログリッドシステムを構築し、プロトタイプの統合制御の実験とシミュレーションを行った。その結果、実験値とシミュレーション値に乖離が生じている。その乖離の要因について解析を行った。
37   ペルチェ素子を用いた大気中水分凝縮回収システムの風速依存性に関する小規模実験および理論的検討
    ※大西慶一朗,松尾廣伸(静岡大学)
     小型のペルチェ素子を用いて,気温20℃,相対湿度90%程度の条件で,風速(0.23~1.22 m/s)に対する凝集水量を評価した.その結果,比湿に対する正規化凝縮水量は風速の増大に伴って増加し,0.48 m/sにおいて最大値172 g/hをとった後減少した.また,理論計算においても実験と同様な増減傾向が得られ,その相対誤差は風速と共に増加する傾向にあるが,0.32m/sの時6.0%で最小となった.

セッションD2(12:20-13:40):太陽電池モジュール不具合

38   部分影の移動に伴う動作点の変化を用いた短絡故障バイパスダイオードの検出
    ※平田航,祐森柾,桶真一郎(津山工業高等専門学校),濱田俊之(大阪電気通信大学),南野郁夫(宇部工業高等専門学校),藤井雅之(大島商船高等専門学校),石倉規雄(米子工業高等専門学校)
     太陽電池(PV)アレイ上に生じる部分影の移動に伴う最大電力点電流(Ipm)の変化から短絡故障バイパスダイオード(BPD)を検出する手法を開発している。短絡故障BPDを含むPVアレイ上で部分影を移動させると,そのIpmは1.31付近と1.37付近にクラスタを構成した。前者は正常なBPDを備えたPVモジュール上に,後者は短絡故障BPDを備えたPVモジュール上に,影が生じたときである。このように,Ipmの変化によって短絡故障BPDを検出できることを確かめた。
39   赤外線カメラによる太陽電池モジュールのバイパス回路の開放故障検出技術―移動物体の映り込みによる外乱除去技術の検証(その2)―
    ※窪田洸,西川省吾(日本大学)
     従来技術の多くは太陽電池モジュールのバイパス回路の開放故障故障位置の検出は困難であった.本研究は,開放故障位置の検出技術の確立を目的としている.バイパス回路が動作する方向に電圧を印加し,開放故障部を発熱させ,それを赤外線カメラで測定することにより故障を検出する.今回は,複数の周波数を含む合成波電圧を印加することで,小さい雲など移動物体の写り込みによる外乱除去を行い検出精度の向上を確認した.
40   自然光を利用したPL観察による太陽電池モジュールの故障検査の高機能化
    ※高野和美,杉原薫(株式会社アイテス),有松健司(東北電力株式会社)
     これまで自然光を利用するPL検査装置について開発しており,フィールド試験において太陽電池モジュールの故障検査への有効性について検証してきている。本発表では高機能化の検討として,無線化による作業性向上と改良画像処理アルゴリズムによる故障判定について検討したので報告する。
41   交流インピーダンス法による太陽電池モジュールにおけるPID現象の早期検知
    ※亀井宏美,小沼大河,中村理沙,馬場好孝(東京ガス株式会社),佐野慎太郎,阿形康平,栫泰隆,片山昇(東京理科大学)
     太陽電池モジュールの出力低下原因の1つであるPID現象は、発生すると短期間で大幅に出力が低下することから、太陽光発設備の運転稼働率の維持のためには早期の発見が求められる。EL測定を始めとする現行の検知技術では出力低下量が少ない初期のPIDを検知することは難しい。そこで、電池評価に一般的に用いられている交流インピーダンス法を適用することで、PID現象の早期検知ができないか検証した。

セッションD3(13:50-14:50):太陽光発電システム(安全性)

42   絶縁性能の劣化検出を含むPV遠隔安全診断システムの開発
    ※戸田祐介,池田輝雄,森田拓弥(株式会社アイテス),有松健司(東北電力株式会社)
     これまでPVストリングにおいて自動で電気的な各種測定し,異常診断のうえ遠隔へ通知するシステムについて開発を進めている。電気的な測定である絶縁性能の劣化検出について,夜間に絶縁抵抗測定する方法と日中に漏洩電流を検知する方法をフィールド試験により検証したので報告する。
43   太陽電池アレイの直流感電リスクに関する基本実験
    ※加藤和彦(産業技術総合研究所)
     以前より太陽電池アレイの直流感電リスクが注意喚起されているが、感電事象の機構や挙動に関する研究の取り組みは遅れているのが現状である。そこで、この問題への取り組みや議論の活発化を促すため、実際の集中制御型太陽光発電設備を用いて感電リスクに関する基本的な実験(モジュール直列数やストリング並列数、ヒューズ式/BLD式、PCS接続の有無など)を実施した。本発表ではその結果を報告する。
44   太陽光発電システムの接地抵抗測定における留意点
    ※池田一昭,大関崇(産業技術総合研究所)
     太陽光発電システムでは、接地電極のみならずシステムの支持物(架台あるいは基礎)が大地と電気的に接続することで複雑な接地システムが構成され、発電システム内および周辺において接地抵抗値が大きく変動する場合がある。また、抵抗値を正しくかつ効率よく測定するのためには、適切かつ工夫した位置に補助電極を設置する必要がある。小型・可搬型の接地抵抗計を使用する場合の留意点を検証実験結果と共に報告する。

11月11日(金)

セッションA4(9:10-10:30):パッシブ建築技術Ⅰ

45   非定常CFD解析を用いたダイレクトゲイン方式の床蓄熱特性検証
    ※山田雄介,酒井孝司(明治大学)
     近年、建築分野における省エネルギー対策が進み、自然エネルギーを有効活用したパッシブデザイン手法が多く利用されている。その手法の一つとしてダイレクトゲインがあり、昼夜の温度変化を抑え、快適性と省エネルギーの両立を図ることができる。本研究では、ダイレクトゲインにおいての蓄熱特性の把握や蓄熱材からの放射・対流熱による影響について検討を、非定常CFD解析を用いて行うことで、詳細な室内温熱環境の把握を行う。
46   自然エネルギー利用換気システムを有する木造戸建て住宅の温熱環境調査
    ※遠藤渓,西川豊宏(工学院大学),丸谷博男(株式会社エーアンドエーセントラル),持田正憲(武蔵野美術大学)
     本研究は、アースチューブと空気式太陽熱集熱システムによる自然エネルギー利用換気設備の動向を明らかにし、通年での温熱環境の実態について報告するものである。一年を通じて正常な換気運転が成され、外気負荷の削減と良好な温熱環境が形成されていることを確認した。
47   準寒冷地におけるログハウス入れ子構造の蓄熱効果に関する研究
    ※宮岡大,浦部智義,高木義典(日本大学),長内勇樹(オーファクトリー),田中重夫(はりゅうコンストラクションマネジメント株式会社),滑田崇志(株式会社 はりゅうウッドスタジオ)
     本研究では、ログハウスのような十分に木材熱容量が用いられた木の塊の箱が、入れ子構造のように建物内に構成されている住宅を対象として、室内温熱環境の実測調査により、入れ子構造になった木材熱容量による蓄熱効果を明らかにすることを目的とする。
48   バイオミミクリー建築の事例調査と性能評価 文献調査の分析とサボテンの形状を模擬した事務所建築の数値シミュレーション
    ※光山武宏,三田村輝章(前橋工科大学)
   

 本研究は建築分野におけるバイオミミクリーの適用可能性について検討を行う。バイオミミクリーとは自然物の形状などを模倣して工学に応用する手法である。本報では、バイオミミクリー建築の事例調査とその分析結果について示す。またバイオミミクリー建築の性能評価のため、模倣する自然物にサボテンを選定し、その形状などを模擬した事務所建築の温熱環境等について数値シミュレーションを行い、計算結果を考察した。

セッションA5(10:40-12:20):パッシブ建築技術Ⅱ

49   夏季のオープンクーリングによる住宅の室内気候と「涼しさ」感 その1 札幌にあるモデル住宅の実測調査
    ※熊谷菜花,堤晴季,斉藤雅也(札幌市立大学),田中祐輔(旭化成建材株式会社),米本晋太朗(株式会社カイトー商会)
     高断熱なパッシブ換気住宅にて,夏季の日中に2階設置のエアコンを運転し,2階の別部屋の窓を一ヶ所開放するオープンクーリング(以下,OC)が有効と考えられているが,実態は明らかでない.本研究では札幌市内の2軒の住宅で被験者実測を行なった結果,外気温30℃で,室温・MRTは25~26℃,室内風速は通常冷房(クローズクーリング:㏄)に比べて不規則なゆらぎがあり,それが「涼しさ」感をもたらすことが確認された.
50   夏季のオープンクーリングによる住宅の室内気候 その2 東京にある住宅の熱環境実測と住まい手の申告調査
    ※堤晴季,熊谷菜花,斉藤雅也(札幌市立大学),田中祐輔(旭化成建材株式会社),米本晋太朗(株式会社カイトー商会)
     一般に夏季の冷房時は窓を閉鎖するが、パッシブ換気住宅では2階のエアコンを稼働し、2階の別部屋の窓を一ヶ所開放する「オープンクーリング」が有効とされている。しかし実態は未解明なので札幌・東京の住宅で被験者実測を行なった。その結果、札幌:外気温25℃、室温・MRTは24℃、東京:外気温27℃、室温・MRTは25℃で、風速は通常冷房に比べて不規則なゆらぎがあり、「涼しさ」感をもたらすことがわかった。
51   夏季のオープンクーリングによる住宅の室内気候  その3 札幌にあるモデル住宅の室内気候と体感評価
    ※斉藤雅也,熊谷菜花,堤晴季(札幌市立大学),泉龍雅(北海道大学),米本晋太朗(株式会社カイトー商会),福島明,平川秀樹(北海道科学大学)
     夏季のパッシブ換気住宅において、2階のエアコンを稼働し2階の別部屋の窓を一ヶ所開放することで涼しさを得る「オープンクーリング」が有効とされているが、実態は未解明である。札幌・東京の住宅での被験者実測の結果、被験者の想像温度(今、何℃と思うか)は実際の室温より1〜2℃程度低く、オープンクーリングの気流が室内温熱環境の快適性を高め、「涼しさ」感を創出していることが確認できた。
52   Experimental study on insulation performance of structured-core transparent vacuum insulation panels for different core materials
    ※Erkki Hirvonen,Takato Miyata,Takao Katsura,Katsunori Nagano((Hokkaido University)
     本研究では、建物の窓の断熱材として簡便に設置できる光透過型真空断熱材(TVIP)の熱伝導率の変化を測定し、比較を行った。3Dプリンタで試作したTVIPの芯材を、ストローを有する外袋に入れ真空ポンプに接続し、真空引きを行いながら熱伝導率を測定した。測定された熱伝導率は、最も性能の良い厚さ5.2mmのフレームタイプ0.017W/(m*K)、最も性能の良い厚さ9.2mmの二層ピークタイプのコアで0.012W/(m*K)となった。
53   光透過型真空断熱材の製造工程における芯材からのガス放出の低減方法の実験的検討
    ※宮田天和,Erkki Hirvonen,葛隆生,長野克則(北海道大学)
     本研究では、建物の窓の断熱材として簡便に設置できる光透過型真空断熱材(TVIP)について、圧力上昇を抑制するTVIPの製造プロセスを確立するため、蓄積法を応用した実験装置を構築した。この実験では、ストロー付きガスバリアフィルムを真空容器として用いた。実験の結果、加熱しながらの真空引きを8時間行い、芯材をコーティングし、ゲッター材を封入するとTVIPの内圧を1Pa程度まで低下させられることを示した。

セッションA6(13:20-14:40):太陽熱利用Ⅰ

54   二重の複合放物面を持つ太陽集光器の最適設計
    ※冨井滉介,秋澤淳(東京農工大学大学院)
     二酸化炭素排出量増加にともなう地球温暖化の加速とともに,再生可能エネルギーを用いた技術の注目度も上がってきている.風力や水力など再生可能エネルギーは数多あるが、私は太陽光に着眼した.さらに,太陽光を有効利用する機器の中で太陽集光器に焦点を当てる.太陽光を集めることで,熱エネルギーを獲得し水の加熱や殺菌などに利用される.本研究では,そのような太陽集光器の中で複合放物面型太陽集光器(以下CPC型集光器)の改良を目指す.CPC型集光器とは,複数の放物面鏡を組み合わせることで太陽の追尾をせずとも多量の集光が見込める技術であり,現在でも多くの分野で使用されている.現状,2次元でデザインされたCPC型集光器は2つのミラー面を持つものがほとんどだが,さらに2つのミラー面を追加することでより多量の集光量が見込まれるという考えのもと,4つのミラー面を持つCPC型集光器(2重の複合放物面を持つ太陽集光器)の研究が存在する.先行研究で,実際に当機器を作成し集光性能を評価している論文は存在するが,追加したミラー面の長さについて言及している論文は存在しない.本研究を通して,各ミラー長さが2重の複合放物面を持つCPC型集光器に与える性能について評価し,実験を通して性能実測を行う.
55   環状空間内でのイオン風による蒸発・凝縮の同時促進に対する効果
    ※角田潤平,藤本雅則(金沢工業大学)
     本研究は太陽熱蒸留器の実現に向けた基礎研究として行った.研究目的はイオン風による強制対流を用いて,内部の熱・物質移動を行い,蒸発・凝縮を同時促進させることである.特にイオン風の発生は多岐にわたり研究されているが,実用化に向けた系での制御は明らかにされていないことから,実際の凝縮モデルでのイオン風の流速及び電流-電圧特性を測定し,凝縮量・蒸発量及び促進比を各電極配置で算出した.
56   水蒸気生成のためのマイクロCu粒子層ウィックを用いた薄膜蒸発促進
    ※髙橋祐哉,亀谷雄樹(千葉工業大学)
     太陽エネルギーの熱により水蒸気を得て利用するシステムの高性能化のため、本研究ではマイクロCu粒子層ウィックを単純な粒子層や凸構造を形成することで基礎技術を確立し、薄膜蒸発を促進させる。製作したウィックでの粒子径解析や熱抵抗の定量評価を行い、効率的な液体輸送や損失の低減に関する検討を行った。
57   ソーラー蒸留システムのための親疎水ハイブリッドCu表面を用いた凝縮水回収の検討
    ※谷川惇,森川昂哉,亀谷雄樹(千葉工業大学)
     海水淡水化装置は太陽光を利用した水不足解決への技術であり、凝縮面の性能向上が求められている。本研究はSAM層形成による疎水性領域と、機械加工による親水性領域でCu板に親疎水ハイブリッド面を形成する。製作した親疎水ハイブリッド凝縮面での凝縮速度の評価をし、効率的な凝縮水回収に関する検討を行った。

セッションA7(14:50-16:30):太陽熱利用Ⅱ

58   次世代太陽熱発電のためのナノ粒子混合によるマンガン酸化物系化学蓄熱材料のサイクル性に関する研究
    ※大橋史弥,郷右近展之(新潟大学)
     次世代太陽熱発電における固体粒子蓄熱媒体として、コスト面・安全性に優れたMn2O3/Mn3O4系化学蓄熱材料が注目されている。本研究では酸化還元サイクルによる化学蓄熱性能の向上を目的として、Mn2O3に対して金属酸化物ナノ粒子を乾式-湿式の2種類の方法により混合し、サイクル性能を評価した。熱重量分析を用いた反応率評価や走査型電子顕微鏡による粒子表面の観察を行い、サイクル前後の粒子の分散度合いと元素分布を解析した。
59   PV/Tソーラーパネルとエジェクタ冷凍サイクルを組み合わせた太陽エネルギー利用システムの検討
    ※寺島康平,長井達夫,門倉輝(東京理科大学),佐藤春樹(東京海洋大学、慶應義塾大学),小嶋満夫,國吉直,伊藤瑶姫(東京海洋大学)
    本研究グループでは、日射を電力と40℃~60℃程度の温水に同時に変換することが可能なPV/Tソーラーパネルを開発してきた。本研究では、60℃程度の温水と電力を用いて15℃程度の冷水を高効率に供給することが可能なエジェクタ冷凍サイクルと、このPV/Tソーラーパネルを組み合わせた、日射によって給湯・暖房・冷房・電力のすべてを供給可能な新たなエネルギーシステムのデザインをシミュレーションで検討したため、本学会で報告する。
60   デシカント除湿における再生と除湿工程切替機構の試作と太陽熱などによる再生実験
    ※櫻井良一(YUCACOシステム研究会 元東京電力技術開発研究所),小泉尚夫(株式会社東洋ソーラーシステム研究所)
     シリカゲルを用いた換気吸入空気のデシカント除湿の再生熱源に太陽熱などを用いるシステムの開発研究を行った。先ず再生と除湿工程の切替機構の開発、試作を行い、太陽熱とヒートポンプ式除湿機によるよる再生を行うシステムを組んで,発表者の自宅にシステムを設置して、システムの自動運転を行いながら、各部の温度、湿度をデータロガーに収録して、データを分析し、除湿性能を評価した。
61   BFS結晶化ガラスを用いた270℃レベル新規固体蓄熱材料の製作と評価
    ※森野雄大,本間剛,山田昇(長岡技術科学大学)
     太陽熱などの断続的なエネルギー源は,熱エネルギー貯蔵が必要である.有望な技術の一つである潜熱蓄熱において,相変化材料(PCM)と作動流体間の熱伝達は熱出力を決定する重厚な役割であるため,PCMの熱伝導率向上による熱出力向上が課題である.ビスマスガラスはガラス中に金属ビスマスを析出させたPCMであり,熱出力向上の可能性がある.本研究ではビスマスガラスの作製方法を検討し,特性について固体―液体PCMと比較した.
98   ヘルシナイト多孔体による炭酸ガス熱化学分解実験
    ※小山佳子,太田祥斗,伊藤謙人,渋谷爽風,中倉満帆,松原幸治(新潟大学),Kent Warren, Alan Weimer(コロラド大学)
   

 本研究では、レプリカ法によってヘルシナイト(FeAl2O4)の多孔体(フォームデバイス)を焼成し、集光型太陽シミュレータによって炭酸ガスの熱化学分解実験を行った。還元反応では、温度を1300~1350℃に設定し、アルゴン雰囲気で酸素の放出が認められた。酸化反応では、温度を還元反応と同じか、それよりも50℃低く設定し、炭酸ガスを反応物質に接触させて、一酸化炭素の放出が認められた。以上のように、ヘルシナイトの酸化還元反応によって二酸化炭素を一酸化炭素と酸素に分解することができた。

 

セッションB4(9:10-10:30):100%再生可能エネルギー部会特設セッション

94   福井県のカーボンニュートラルに向けた取組み
    ※岩井渉(福井県環境政策課)
95   再エネ100%で運行する電車
    ※澤崎幸夫(福井鉄道株式会社)
96   地元未利用材による木質バイオマス熱供給事業
    ※大城謙治(もりもりバイオマス株式会社)
97   総合討論

 

セッションC4(9:10-10:30):両面太陽電池モジュール

62   両面受光型太陽電池モジュール裏面側の部分影が発電出力に及ぼす影響の解析
    ※土田脩斗,佐藤大輔,山田昇(長岡技術科学大学),津野裕紀,大関崇(産業技術総合研究所)
     両面受光型太陽電池(両面PV)の裏面側には、遮光物を入れないことが望ましい。しかし、構造体力を保つためか、裏面に梁などを入れる場合が散見される。このような場合では、裏面の梁などの構造物の部分影により、両面PVの発電出力が低下するが、実際その影響がどの程度なのか明らかになっていない。本研究では、両面PVの裏面側の部分影が発電出力に及ぼす影響をシミュレーションと実験により調査した。
63   垂直設置した両面PVモジュールの影と天空率考慮した 裏面日射強度の推定
    ※Amirul Naim,重信颯人,伊藤雅一(福井大学),津野裕紀、大関崇(産業技術総合研究所)
     両面PVモジュールは自身の影によって,モジュールに入射する地面反射日射強度が減少する。現在までに影を考慮した裏面日射強度の推定モデルとして,角度表現モデルと形態係数モデルがある。本稿ではモデルに天空率を追加することによる精度向上の可能性について検討した。結果、天空率を考慮することでより実測値に近い値となることが分かり、天空率による改善効果の平均は3.75 [W/m2]であった。
64   両面受光型太陽電池における裏面受光による発電電力変動要因の分析および簡易的な発電電力量増加率計算モデルの開発
    ※津野裕紀,大関崇(産業技術総合研究所),土田脩斗,山田昇(長岡技術科学大学)
     両面受光型の片面受光型に対する発電電力量増加率(Bifacial energy gain:BG)は、アレイの高さやアレイ間の幅等の幾何的な要素に強く依存する。このためBGの計算には光線追跡法や形態係数モデルがよく利用される。一方、短時間でBGを求めたいという場面もあり、簡易的なモデルも必要である。本研究では、BGの地域や季節性、アレイ仕様による発電電力の変動要因を分析し、この結果を基に簡易的ではあるが妥当性のあるBGの計算モデルの開発を試みた。
65   中規模太陽光発電システムの環境性評価
    ※高橋沙里,重信颯人,伊藤雅一(福井大学)
     両面受光型太陽光発電(BiPV)は,モジュールの裏面でも発電できるため発電効率の向上が期待されている.BiPVの生産性や経済性について多くの研究がなされているが,環境性能についてほとんど評価されていない.本報告では、BiPVを含めたPVシステムの環境性を、LCAを用いて評価した。結論として、BiPVは、片面受光型太陽光発電(MPV)に比べて総エネルギー消費量やCO2排出量が多いが、発電量の向上が期待でき、より環境性に優れているといえる。

セッションC5(10:40-12:00):太陽光発電システム(交通分野)

66   商品配送車としてのPVEVの有用性検討
    ※水野英範,棚橋克人,髙島工,大関崇(産業技術総合研究所)
     PVを搭載したEV(PVEV)は、今般のカーボンニュートラル化の推進・運輸部門のCO2排出量削減に貢献できるものと期待される。我々は、クルマの中でも商用車をターゲットにPVEVの可能性を検討しており、いくつかのユースケースにおいて実証データの取得を進めている。本発表では、地元(福島県郡山市)のスーパーマーケットが実施している商品配送サービスにPVEVを導入することを想定した実証データの分析・評価について紹介する。
67   GISを利用した車載PVシステムの発電電力量推定技術の検討
    ※大関崇,水野英範,髙島工(産業技術総合研究所)
     PVを搭載したEV(PVEV)の有効性に関する研究を実施している。本発表では、GISツールを利用した車載PVシステムの発電電力量推定技術の検討結果について紹介する。
68   特殊巻線構造変圧器を用いた直流給電システムの一検討
    ※池田和樹,岩﨑祐翔,田中蒼,西谷強,雪田和人,七原俊也,後藤泰之(愛知工業大学),加藤彰訓(河村電器産業株式会社)
     近年、脱炭素化に向けて太陽光発電などの再生可能エネルギーを用いた発電装置が普及し、それらと親和性の高い直流給電システムが注目されている。本論文では、特殊巻線構造12相変圧器を利用したAC/DCコンバータを用いて直流給電システムを構築し、直流バスに太陽光発電装置を接続した際の基礎特性に関して検討を行った。
69   LCAによる太陽光発電システム搭載電気自動車と内燃機関車の比較
    ※田中拓都,重信颯人,伊藤雅一(福井大学)
     電気自動車(EV)の導入が進む昨今,EVが真に環境維持に貢献できるか評価する必要がある。製造から廃棄までの環境負荷を評価する手法としてLCAがあり、本研究では環境負荷の中でもCO2に着目し、EVおよび太陽光発電システム搭載EV(PVEV)に対して評価を行った。その結果として,内燃機関車と比べて,CO2排出の観点から5000km程度がPV効果の境界点となり,長距離で走行・使用した場合はPVEVが環境維持に貢献できることが明らかとなった。

セッションC6(13:00-14:40):電気化学・バイオマス・風力

70   電析により調製したCu/Ru/Ketjenblack-TiO2/Carbon paper触媒を用いた低温常圧下における電解窒素還元能
    ※鷹取樹,城石英伸(東京工業高等専門学校),河野大樹,原田祐弥,吉田司(山形大学)
     電解窒素還元による水素キャリア製造実用化のためには実用に足る触媒の開発が必要である.本研究ではRu/ケッチェンブラック-TiO2/カーボンペーパー触媒の活性点の解明と触媒の選択性向上に向けた研究を行った.電析法を用いることによって選択的にRuの析出サイトを制御し,燃料電池型電解セルを用いて窒素還元能を評価した.その結果Ti-(O)-Ru結合が窒素還元活性サイトであることが示唆された.
71   下水に含まれる肥料資源と廃熱・排出CO2を供給し甘藷の光合成効率を高めメタン・水素生産に利用する資源循環システム
    ※鈴木高広,道幸和音,小林秀太郎,英拓未,坂本勝(近畿大学),久保裕志,宮部由彩(日本下水道事業団),廣島大祐(ウォーターエージェンシー)
     下水から肥料成分を回収利用しサツマイモを大量生産しメタンに全量変換することで水素燃料を全量国産化できる可能性があることをこれまでに報告した。サツマイモの生産効率を一段と高めるために、季節による日射光の利用率の増減の原因を解析し、下水施肥効果、冬季の暖房熱源、夏季の紫外線による光酸化作用の影響の低減方法、下水処理により発生するCO2をサツマイモに供給する効果を調査した。
72   地球重力下, 常温, 常圧におけるロウソクの青炎燃焼 —長期安定青炎中のビラジカル種・二原子炭素とその生成経路およびそのラジカル重合による煤生成機構—
    ※塙藤徳(森林総合研究所)
     これまで発表者は、地球重力下, 常温, 常圧にお於いてロウソクが長期間安定して青炎燃焼する事を報告して来た。今回、当該火炎中にビラジカル種である二原子炭素が見いだされた為、その生成経路及びそのラジカル重合による煤生成機構について検討を加え、これまでにない反応機構を提案する。これにより、未解明の部分が多い炭化水素を含むバイオマスの燃焼および高効率燃焼法解明の一端と成る事を期待したい。
73   里山のための農産物保存庫の開発研究 ─冬季熱環境シミュレーション─
    ※伊澤康一,田辺和康(福山大学)
     高価な市販品の農産物保存庫に対して、生産者が手作りできる安価な農産物保存庫を開発できれば、農産物廃棄量削減、高値長期間販売となって里山促進につながると考える。本研究では、サツマイモを対象とし、簡易で安価な農産物保存倉庫を製作し、その効果を検証することを目標としている。本報では、試作した農産物保存倉庫の仕様について概説するとともに、冬季(1月)の熱環境を数値計算によって予測した結果を示す。
74   小形風力発電機の整流時における共振現象の解析
    ※岩﨑祐翔,細江忠司,池田和樹,雪田和人(愛知工業大学)
     小形風車を用いて調査した共鳴・振動現象の解析結果について報告する。風力発電機の共振現象による問題として,騒音や振動が挙げられる。共振現象を解析するため,風力発電機出力のFFT解析を実施した。解析は,実験回路を構築し,小形風車に共振現象を発生させ,出力波形を高速フーリエ変換し,周波数特性を算出することで行った。

セッションC7(14:50-15:50):地球環境・生物多様性

75   地上設置太陽光発電による生物多様性回復に向けた検討
    ※吉富政宣(有限会社吉富電気),宮田紀英(北安曇動植物調査会)
     地上設置型太陽光発電(地上PV)は,「自然破壊」とそしられ,NIMBY化している実態がある.しかしながら,放置され鬱閉した人工林が生物多様性を損なっている事実,並びに,地上PV用の道路やアレイ周縁の開発行為が今では希少になってしまった半自然草原とマント群落とを再創出しうることの2点に着目すると,人工林を伐開して建設する地上PVを「自然破壊」ではなく「生物多様性回復の一助」へと高める展望が拓かれる.
76   地域の再生可能エネルギー割合による脱炭素化および持続可能性評価
    ※松原弘直(特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所),倉阪秀史(千葉大学)
     日本国内の全ての地方自治体毎のエネルギー年間需要量(電力および熱)に対して再生可能エネルギー(太陽光、風力、小水力、バイオマス、太陽熱、地熱)の年間供給量を推計し、民生部門および農林水産部門を対象として地域的な再生可能エネルギー割合を推計し、地域の人口規模や食料自給率など様々な特性に対して分析することで、地域の脱炭素化おより持続可能性について評価する。
77   火力発電割合を考慮したエコロジカルフットプリントによる エリアごとの持続可能性の検討
    ※今井康太,重信颯人,伊藤雅一(福井大学)
     エコロジカルフットプリントとは,人間の活動が地球環境に与える負荷の大きさを図る指標であり,発電のCO2排出による地球への負荷が多くを占めている。持続可能社会の実現には,火力主体から再エネ主体の電力系統への推移によってCO2排出による負荷を軽減する必要がある。また,系統安定性の観点から同期発電機の確保も考慮する必要がある。そこで本研究では,同期発電機の割合が変更した場合の持続可能性の判別手法を提案する。

 

セッションD4(9:10-10:30):太陽光発電システム(発電量予測Ⅰ)

78   抑制時の太陽光発電出力の前日予測精度の評価
    ※加藤丈佳,占部千由(名古屋大学)
     数100GW規模で太陽光発電(PV)が導入されるような状況では、多くの時間帯において出力抑制運転されることが予想される。各PVにおいて出力上限を設定して出力抑制すれば、予測の上振れリスクを緩和でき、出力予測精度を向上できる。本研究では、中部エリアのPV合計出力の前日予測に関して、57地点で観測された日射データを用いて、出力抑制レベルと予測精度との関係を評価する。
79   太陽電池アレイの過積載が広域の太陽光発電電力予測に及ぼす影響
    ※桶真一郎,藤田陸(津山工業高等専門学校),大竹秀明(産業技術総合研究所)
     太陽光発電システム(PVシステム)においてパワーコンディショナの定格出力よりもPVアレイの定格発電電力の方が大きい設置形態を過積載という。過積載PVシステムの発電電力は日射強度とは異なる変動を呈するため,過積載の増加は電力系統の安定運用に利用されつつある太陽光発電電力の予測に影響を及ぼす可能性がある。本研究では,過積載が広域の太陽光発電電力予測に及ぼす影響を調べた。
80   Auto-Encoderを用いたエリアPV出力予測における時系列情報の導入に関する一考察
    ※森友輔,若尾真治(早稲田大学),大竹秀明,高松尚宏,大関崇(産業技術総合研究所)
     太陽光発電(PV)の大量導入が進む電力系統の適切な運用のためにはPV出力の予測情報が必須である。筆者らはAuto-Encoderを用いて日射量の気象予報画像から東京電力管内のPV出力合計値を予測し、予測の大外しが削減可能であることを確認した。本稿では、Auto-Encoderの予測モデルにおいて時系列情報を考慮することを目指し、異なる時刻の気象情報を入力した場合の予測結果について考察する。
81   GPV周辺雲状況及び日射量予測値変化による日射量予測誤差範囲の予測
    ※屠雨陽,方雪,崔錦丹,植田譲(東京理科大学)
     日射量はPV発電量予測の重要な要素であり、その誤差範囲を推定することで発電計画の改善が期待できる。本研究ではGPV-GSMからの当該地点全雲量、周囲地点と当該地点全雲量の差の最大値、日射量予測値、晴天指数予測値、晴天指数変化値を含めた複数のデータをランダムフォレストに入力し、正負と数値の大きさから複数のカテゴリに分類された日射量予測誤差範囲を予測した結果について報告する。

セッションD5(10:40-12:00):太陽光発電システム(発電性能)

82   太陽電池出力の経時変化式
    ※増田幸治,小野孝仁(A-WINGインターナショナル株式会社)
     太陽電池出力の経時変化を表す式はまだ一般に知られていないため,様々な課題が残っている.本研究では出力の経時変化を表す基本式を導出し,実際の測定データと比較することでその有用性を示す.また温度条件の異なる試験結果を用いて任意温度での出力経時変化式を決定する手法を紹介する.
83   簡易的なシステム係数による小規模太陽光発電所の発電電力量経年変化の統計分析
    ※安田陽(京都大学),奥山恭之(株式会社エナジービジョン),大門敏男((新エネルギーO&M協議会)
     筆者らは小規模太陽光発電所を対象とした発電電力量監視サービスを開発し、近隣の気象観測所のデータを利用して発電電力量の経年変化を把握する「簡易的なシステム係数」(sPR)を提案している。本報告では、全国約27箇所の発電所に対してさまざまな変数とsPRの低下率との関係を回帰分析により調査した。その結果、低圧分割の有無やFIT買取価格とsPR低下率の間に統計的に有意な相関があり、FIT価格が高いほどsPR低下率が大きくなることが明らかになった。
84   発電電力量と日射量データによる長期的傾向の解析に基づく発電阻害要因推定手法の開発
    ※大門敏男(一般社団法人新エネルギーO&M協議会),奥山恭之(株式会社エナジービジョン),安田陽(京都大学)
     筆者らは、主として小規模太陽光発電所を対象に、遠隔監視システムの発電電力量データと近隣気象台の日射量データを用いて、簡便・安価に発電電力量の低下傾向を解析し、実務上使用可能なアウトプットを提供する手法を実用化している。本研究では、その解析結果を元に、現場へ行くことなく阻害要因を推定する手法と、その推定についてその後の現場調査により実態との合致度を確認した結果について報告する。
85   小規模太陽光発電所を対象とした発電電力量経年変化の傾向に基づく発電阻害要因の推定を活用した是正事例
    ※奥山恭之(株式会社エナジービジョン),大門敏男(新エネルギーO&M協議会),安田陽 (京都大学)
     筆者らは、小規模太陽光発電所を対象とした発電電力量の経年変化を把握し、その長期的傾向の解析結果を元に現場へ行くことなく阻害要因を推定する手法を研究・開発している。本報告では、それら手法により特定発電所において大幅な発電電力量の低下を発見・阻害要因推定した上で、現場調査を実施し阻害要因を確定、対策を取り発電電力量を回復した具体の事例を報告する。

セッションD6(13:00-14:20):太陽光発電システム(発電量予測Ⅱ)

86   メソアンサンブル予報システム(MEPS)データを入力とした機械学習モデルの日射予測大外しの分析の基礎検討
    ※高松尚宏,大関崇,大竹秀明,中島虹(産業技術総合研究所),山口 浩司(日本気象協会)
     電力システムの系統管理者は変動性再生可能エネルギー電源の発電予測大外しに備えて予備調整力を前日の段階で保守的に調達する必要がある。そのため、系統運用コストの低減のためには太陽光発電の大外しを低減することが求められる。本研究では、日射予測大外しの低減に向けて、メソアンサンブル予報システムデータを用いた機械学習モデルによる日射予測を行い、構築された予測モデルの大外し発生事例について分析を検討した。
87   パラメータアンサンブルによる予測値のばらつきを用いた日射量予測大外し予見
    ※河合美咲,占部千由,加藤丈佳(名古屋大学),宇野史睦(日本大学)
     太陽光発電の出力予測における大外し予見のために、アンサンブル予測のうち物理スキームの組み合わせを様々に変化させるパラメータアンサンブルに着目し、数値気象予報モデルであるWRFを使用した各種気象パラメータの複数の予測値のばらつきを用いた日射量予測大外しの予見手法の開発を試みている。本論文では、予見指標に使用するモデルの組み合わせ数を変化させ、予測大外しの予見精度を比較した。
88   メソアンサンブル予報システム(MEPS)の3時間データの1時間値への補間による予測誤差評価
    ※大関崇,大竹秀明,高松尚宏,中島虹(産業技術総合研究所)
     太陽光発電の予測誤低減(特に大外し誤差の低減)が重要であり、その解決としてアンサンブル予報を利用する方法がある。現在、メソアンサンブル予報システム(MEPS)データは3時間値平均値が公開されているが、電力の需給運用では、1時間値、30分値が求められる。本研究では、メソアンサンブル予報システムの3時間値データを補間した場合の予測誤差の評価結果について報告する。
89   ニューラルネットワークを用いた発電電力推定における影の影響の解析および推定モデルの評価
    ※福田敦史,坂東隆宏,針谷達,滝川浩史(豊橋技術科学大学),平塚元久,真木志郎(株式会社エイム)
     現在、再生可能エネルギーの利用が注目されており太陽光発電の需給予測が必要不可欠である。本研究グループでは,雲影の挙動をモニタリングすることで水平面日射強度を予測するシステムの構築を進めている。本研究では,ニューラルネットワークを用いて予測された水平面日射強度から発電電力を推定するモデルを構築した。またパネルにかかる影を解析し構築したモデルが影の影響をどの程度まで推定できているかを評価した。

セッションD7(14:30-15:50):太陽光発電システム(発電量予測Ⅲ)

90   翌日および翌々日程度先の日射量予測技術の開発 ~気象モデル・複数モデル予測値の統合・信頼度予測に係る技術開発~
    ※久野勇太,宮﨑聡,井上鷹矢,志田純哉,吉川茂幸,山口浩司(一般財団法人日本気象協会),大関崇(産業技術総合研究所)
     著者らはNEDOの委託研究の一環として、翌日および翌々日程度先の日射量予測技術の開発を行っている。太陽光発電の発電量予測誤差による電力系統への影響を緩和するために、日射量予測が大きく外れる事象の改善を目指す。このために、日射量予測に特化した気象モデル、複数モデル予測値の統合、アンサンブル予報を活用した信頼度予測に係る技術開発などに取り組んでいる。今回は、取り組みの概要と試行結果について発表する。
91   翌日および翌々日程度先の日射量予測技術の開発 ~複数の電力エリアにおける日射量予測大外れ事例分析~
    ※大竹秀明,中島虹,高松尚宏,大関崇(産業技術総合研究所),山口浩司(日本気象協会)
     複数またがる電力エリアで日射量予測の大外れがあると、電力エリア間の融通の対策にも影響がある。GSMベースで、複数の電力エリアで同時に予測の大外れを起こした事例を抽出し、外れ時の気象場の特徴等の事例分析を行った結果を示す。
92   衛星画像と複合地上センサを組み合わせた日射量・太陽光発電出力予測(その1)
    ※橋本篤,宇佐美章(電力中央研究所),花田行弥,小渕浩希(スカパーJSAT)
     当日を対象とした太陽光発電出力予測では、日射量の変動を正確に予測・把握する必要がある。このために、衛星画像予測と複合気象センサを組み合わせた短時間予測の研究・開発に取り組んでいる。
本研究では、当所の赤城試験センターにおける衛星画像と複合地上センサを組み合わせた日射量と太陽光発電予測の実証試験の内容と取り組みについて報告する。
93   メソアンサンブル予報による基幹系統運用のダイバーシティの分析
    ※山嵜朋秀,豊嶋伊知郎,犬塚直也(東芝エネルギーシステムズ株式会社),加藤大樹,森友輔,若尾真治(早稲田大学)
     近年、電力系統は大量導入された太陽光発電(PV)出力の予測値に基づき運用されるが、予測値は必ず誤差を含むため、予測の不確実性を適切に考慮することが特に重要となる。その一考察として、本稿では、気象庁のメソアンサンブル予報(気象の不確実性を考慮した21パターンの予報)の日射量予測値から東日本の電力系統のPV出力を推定し、各々のパターンで最適潮流計算に基づき電力系統の運用状態を決定した結果を分析する。