ブックタイトル新太陽エネルギー利用ハンドブック
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新太陽エネルギー利用ハンドブック
第4章実用化が近い太陽電池4・1フジクラにおける色素増感太陽電池4・1・1はじめに色素増感太陽電池(Dye-sensitized Solar Cell,以下DSCと記す)は,シリコン材料を使用しない太陽電池であり,高真空プロセスを必要とせず,スクリーン印刷法により製造可能な為,大幅な低コスト化が期待される次世代型の太陽電池である.(株)フジクラでは,このDSCに早い時期から着目し,その大型化・高耐久化の研究を,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトも受託しつつ進めている(1)-(5).近年の成果としては,平成18年から21年度にかけて実施された「太陽光発電システム未来技術研究開発」プロジェクトにおいて,「高耐久性色素増感太陽電池モジュールの研究開発」を受託し,30 cm角までのDSCサブモジュール製作技術を開発すると共に,JIS規格C8938耐久性試験の各試験(温度サイクル,温湿度サイクル,光照射,耐湿性)での相対効率低下1%未満の5 cm角セル(発電部面積あたりでの変換効率η(ac)が8%程度)を開発することに成功した(5).この未来技術研究開発プロジェクトで得た成果を基として,平成22年度からはNEDO「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」プロジェクトにおいて,「高効率・高耐久性色素増感太陽電池モジュールの研究開発」を実施している.本研究開発では,屋外利用可能かつ高効率な色素増感太陽電池モジュールの技術開発を実施しており,PV2030+に掲げられた2020年における太陽光発電による発電コスト目標14円/kWhを,色素増感太陽電池を用いた発電システムにおいて達成可能とすることを目指し研究開発を進めている.また,未来技術研究開発プロジェクトまでの研究開発において,DSCは拡散光下や低照度環境で他の太陽電池よりも有利となる特性を示すことを見いだせた.この特性を活かすため,屋内光利用を指向したDSCモジュール開発を進め(6),エネルギーハーベスティング(環境発電)分野での商品化を目指している.本稿では,この屋外利用可能なDSCモジュールの開発(NEDO委託研究),ならびに屋内光向けDSCモジュールの開発(フジクラ社内開発)の2つの研究開発を紹介する.4・1・2 NEDOプロジェクトでの屋外利用型DSCモジュールの開発「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」におけるDSCモジュール開発では,30cm角程度のモジュールサイズにて,平成24年度の中間目標で7%の変換効率とJIS規格C8938の耐久性試験における相対効率低下10%以内を両立して達成することが求められている.フジクラではこの中間目標を平成24年度前期までに達成し,平成26年度最終目標である,変換効率10%かつ耐久性試験後の相対効率低下10%以内に向けた研究開発を進めている.以下にこの研究開発成果を紹介する.まず,本研究開発では,5cm角セルの変換効率向上として,チタニア光電極構造・電解液組成・色素の高純度化等の改善を実施し,照射エリアあたりの変換効率η(ap)で8%程度となる5 cm角セル(発電部あたりの変換効率η(ac)では9.2%)を開発した.次に,このη(ap)=8%程度の5 cm角セルを複数作製し,JIS C8938試験で最も過酷であった耐湿性試験B-2 (85℃,85%RH,1000時間)にかけ,その耐久性評価を実施した.本耐久性試験下での時間経過ごとでの変換効率の測定結果を図4・1・1に示す.図4・1・1のプロットは試験したセルの一部のみを記しているが,1000時間の試験期間中においてその効率がほぼ変化することなく維持できている事が確認できる.なお,5 cm角セルに対してでは,上記の耐久性試験?????????????????図4・1・1η(ap)= 8%程度の5 cm角DSCを用いた85℃, 85%湿度下での変換効率変化? 131 ?