ブックタイトル新太陽エネルギー利用ハンドブック

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新太陽エネルギー利用ハンドブック

第1章太陽光発電技術―内外の動向と今後の展望―1・1 「国内外の技術動向」太陽電池,太陽光発電システム,その他に関わる技術全般とその動向太陽光発電は従来,人類のエネルギー問題,地球環境問題解決の切り札と注目され,研究開発,実用化が図られてきた.2011年の東日本大震災に伴って発生した原子力発電所の深刻な事故により,人類の将来のエネルギー源をどうするかという大きな課題が明らかになってきた.そこで,太陽のエネルギーを直接電気に変換できる太陽光発電のより一層,積極的な推進が望まれている.本節では太陽光発電の中核となる太陽電池の研究開発の歴史的経過を概説的に振り返り,最近の国内外の太陽電池,太陽光発電システムの研究開発の動向,今後の課題と展望に関して記述する.1・1・1太陽電池研究開発の源流は約170年前にさかのぼる1)太陽電池の起源となる光起電力の発見したのは何時,誰か?物質に光が当たると電気が発生する光起電力効果の発見は1839年(約170年前で,日本は江戸時代の天保10年)にフランス人の物理学者であるアレクサンダー・E・ベクレル(Becquerel)が電解液(塩化銀の溶液)に浸した二つの白金(Pt)電極からなる湿式セルに光が照射されると電圧が発生することを報告したことに源流がある(1).2)固体における光起電力効果の発見と光電池の誕生その後,1876年にAdams&Dayによってセレンと金属との?点接触?における?固体状態?の物質の中での光起電力効果(Photovoltaic Effect)が観測された(2).液体ではなく固体,つまり,現在の太陽電池に近い形で光から電気が発生することが確認されたのである(表1・1・1参照).Seを使った?点接触でない? ?面接触型?のSe光起電力セルを1883年にFrittsが作成した(3).この構造は図1・1・1に示すようなSeに極めて薄い金の膜を接合したものであった.これが現在の太陽電池の原型とも言える.このデバイスは光から電気を発生させ,微小ではあったが電力も得ることができ,このセルは?Se光電池?と呼ばれ,光から電気を得る手段として,カメラの自動露出計用光起電力センサーなどとして活躍した.後に述べるシリコン(Si)太陽電池が登場する1960年代半ばまでの約80年間,光電池としてまた各種センサーとして広く応用された.図1・1・1セレンを用いた光電池1・1・2 Si太陽電池の誕生現在,主流として使われているシリコン(Si)太陽電池はどのようにして発明されたかについて述べる.1)太陽電池に大きな影響を与えたpn接合によるトランジスタの開発第2次世界大戦直後に米国ベル研究所では,従来の真空管による通信制御方式から新しい電子的な固体デバイスを用いた制御装置を開発する計画を立てていた.1947年にショックレー,ブラッティン,バーディーンらはGeを用いた点接触型トランジスタを発明した.その後,ショックレーは当時,純度が向上したSiを使い,そのバルクの中に不純物を添加し,p型やn型を形成し,接合型トランジスタを3年後の1951年に完成させた.1952年の初期に,ベル研はトランジスタの開発グループとは別に,トランジスタを用いた低消費電力の通信システムの電源開発グル―プを設けていた.この新しい独立型電源開発を担当していたシャピンは当時,実用化されていた従来型の?Se光電池?をこの独立電源に用いようと考えて実験していた.? 1 ?